選挙報道:千代田区長選直前の「日の丸騒動」について

与謝野 信

区長選直前に「日の丸騒動」を報じた夕刊フジに問題はなかったのか?(画像はZAKZAKより引用:アゴラ編集部)

千代田区長選のときに夕刊フジにより報じられた私に関する以下の記事に関していつかしっかり説明をしようと思っていました。

小池氏、日の丸的あてゲーム騒動に激怒「信じられない!」 千代田区長選ドン派候補・与謝野氏直撃「全然違う」

実際に何が起きたか説明します。

2017年1月22日に麹町の地元町会が主催する餅つき大会がありました。2月の選挙に向けて各陣営ともこのような行事にはなるべく顔を出します。当然現職の石川区長やもう一人の候補者も来ていました。マスコミも全候補者が来るので取材に来ていました。餅つきするところや、お餅を食べてるところ、地元の人に挨拶するところなどを撮影します。

当日私たちの陣営は地元の区議がその行事における仕切りを担当をしており、子供たちと触れ合う機会を頂くことになりました。それが3歳から7歳ぐらいの子供たちがマトをめがけてマジックテープでくっつく球を投げて、マトに当たっても当たらなくても景品がもらえるという企画でした。以前からあったイベントとのことで、そのマトも以前から使われていた町会の手作りでした。

区議の方と町会の方から私に司会をしてくれということだったので、言われた通り簡単な司会をして子供たちの年齢に応じて距離を調節して子供たちに景品を渡しました。

私がやったのはそれだけです。

誓って言えることは、私や町会の人たちに国旗を貶めよう、蔑ろにしようなどという気持ちは一切ありませんでした。

写真で見たとき、実際の印象と全く違っていて「画像の加工したのでは?」と思ったほどです。

あそこにいた人は誰一人「国旗に対する的当てゲーム」をやっているなどというつもりはありませんでした。そもそも自民党の区議の多くは保守なので、何か少しでも反日的意図を感じたら絶対にさせません。誰から見ても他愛のない子供のための行事でした。町会の人々も子供たちも善良な千代田区民であり東京都民です。彼らの伝統的な餅つき大会のあるイベントで「反日的行為」などあるはずがないのです。

私も町会の人々も区議も全員、国を愛し地域と伝統を大切にしていきたいと心から思って自分たちのできる範囲で行動しています。私は愛国心や国を敬う気持ちはしっかりと持っています。

しかし白地に赤い丸を見れば誰でも「日の丸がら」だとは思います。実際に国旗そのものではなく、同時に国旗を貶める意図は全くなかったのですが、それでも写真を見た方は不快な思いをされた方もいたでしょう。

この場を借りて改めてあの写真を見て不快な思いをされた方々にお詫びするとともに、お騒がせしご迷惑をおかけした町会の方々に心からお詫び申し上げます。

この謝罪は夕刊フジの取材でも一番最初に最も重要なこととしてお伝えさせていただきましたが、記事上では完全に無視・カットされました。

選挙では敵対する陣営とその陣営に肩入れする一部のマスコミが色々な工作をしてくることは聞いていましたが、実際に体験すると目的のために手段を選ばない行動に出る人がいて、なおかつそのような人が権力を有する立場にいることに驚きますし、非常に残念な気持ちになります。全く罪のない区民・都民に対してフェイクニュースにより「反日」などという言われなき非難がされている時に、彼らを守るどころか誹謗を助長している人たちに都民ファーストやら区民ファーストを語る資格はあるのでしょうか?

選挙中ほどではありませんが、今でもこの件に関して私のところに批判(というよりもはや単なる罵詈雑言)を書き込む人たちがいます。その多くが「保守」を自称されている方達で小池さんの支持者、他にも維新の会の支持者や自民党の支持者で内田元都議に反感を抱いている人たちなどもいました。

選挙は戦いだから手段を選ばない人がいるのは理解しています。しかし今回のことは実際には「国と地域を愛する人々」を陥れて「反日」のレッテルを貼り「国旗」「愛国心」を選挙活動に「利用」するという、本当の愛国者ならば決してやらない行為です。

大手新聞は基本的には選挙報道は中立を目指しているので、このようなひどい印象操作を目的とした報道はしません。しかしそうでない報道媒体も数多くあります。誤報・名誉毀損とならないように気をつけてはいるが、明確に印象操作を目指したフェイクニュースは存在します。志のあるジャーナリスト・報道各社も現代の情報が氾濫する社会において、質の高い報道を維持するために色々と悩みながら記事を書いていると思います。

私はこの記事により多大な選挙妨害を受けましたが、それでも報道の自由は守っていかなければいけないと信じています。ブログやSNSを通じて自分自身でも発信するチャンネルを持つと同時に、政治家は積極的にジャーナリストに自分の考えを話す機会を持つべきだと思います。

最後になりましたが、このような記事が書かれネット上でも色々とひどいことを書き込まれたにもかかわらず信頼して応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。そして本当に不甲斐ない結果になってしまい申し訳ありませんでした。

与謝野 信(よさのまこと)
1975年東京生まれ。英国ケンブリッジ大学経済学部卒業後、外資系証券会社に入社し、東京・香港・パリでの勤務を経験。2016年、自民党東京都連の政経塾で学び、17年2月の千代田区長選に出馬した(次点)。財務相、官房長官を歴任した故・与謝野馨氏は伯父にあたる。