憲法の「付則」に自衛隊を書き込む、という頭の体操

あくまで頭の体操だと思っていただきたい。
四角い頭を丸くする、というアレである。

自民党では憲法9条の第1項、第2項をそのままにして、憲法のどこかに自衛隊の存在を明記するだけに留めようという方向が有力になっているようである。

方向性としては決して悪くはない考え方だが、国政の一部組織でしかない自衛隊を憲法に書き込むことについては法制技術上の問題がありそうで、すんなり話がまとまるようには思えない。

すんなりと憲法改正の発議に持っていくためには、大骨も小骨も取り除いて、呑み込みやすいような形にしていくことが必要だろうから、国民に違和感が残りそうな表現にはしない方がいいはずである。

自衛隊と書くと異論が噴出するかも知れない、というので、自衛権についての規定を置くだけにしようとか自衛のための組織と表現するに留めておこう、などという提案は、多分、そのあたりのことを配慮しての提案だろうと思っている。

9条2項を削除して、紛れをなくせ、などと息巻いておられた方々はとても承服できないだろうが、自衛隊の存在を憲法に規定しても実態は現在と何も変わらない、今回の改正では、憲法9条については何も足さないし、何も引かないのだ、と仰るのなら、もう一歩踏み込んで憲法9条には一切手を触れず、憲法の付則に自衛隊という文言を書き込むくらいでいいんじゃないか、ということも言えるのではなかろうか。

四角四面で角を突き合わせているだけでは能がない。

国民の大方の納得が得られるような憲法改正案にしていこう、という気持ちが与党の皆さんに本当にあるのだったら、もっと頭を柔らかくしておいた方がいい。
勿論、野党の皆さんも同じだ。

くれぐれも、思考停止されませんように。

せいぜい皆さんの知恵をトコトンまで絞っていただきたいものである。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年1月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。