1月の全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比0.9%増と伸び悩み

2月23日に1月の全国消費者物価指数が発表された。全国結果の公表はこの1月分から1週間早期化している。東京都区部の2月分の速報値についてはこれまで通りとなり、こちらの公表は3月2日となる。

1月の全国消費者物価指数の総合は前年比プラス1.4%、生鮮食品を除く総合でプラス0.9%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合でプラス0.4%となった。

総合が昨年12月の前年比プラス1.0%からプラス幅を大きく増加させた背景には、野菜などを中心とした生鮮食料品の値上がりが大きく影響している。日銀の物価指数は元々はこの総合においていたことで、もしそのまま総合を使っていれば物価目標達成に近づいたことになる。

しかし、現在はコア指数と呼ばれる生鮮食品を除く総合に変更されている。コア指数の前年比のプラス幅は拡大してきていたが、昨年11月以降はプラス0.9%となっており、ブレーキが掛かった格好となっている。

1月分でみるとガソリン,灯油などの上昇幅が縮小し、エネルギーにより総合の上昇幅が0.06ポイント縮小したが、それを生鮮食品を除く食料などがカバーした格好となった。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合がじりじりと前年比の上昇幅を拡大させていることからも、物価は緩やかながらも上昇基調となっていることは確かである。コア指数については原油価格の動向もかなり影響するが、WTIの動きからも少なくとも下押し要因にはなりづらいか。

日銀が物価目標をコア指数に置いていることで、コア指数の動向を見る必要があるが、なかなか1%を超えられない。生鮮食料品の値上がりが一服すれば、総合でみても前年比が2%に届くこともいまのところは想定しにくい。

日銀が大量の国債を買い、イールドカーブをコントロールすれば、どのようにして消費者物価指数が上昇するのか、その仕組みは謎だが、いずれにしても物価目標にはまだ距離があり、日銀としては表面上は出口は封印せざるを得ない。ここにきては総裁と副総裁人事も絡んでいることで、当面は現在の政策を維持し、市場に妙な思惑を抱かせないようにするものと思われる。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年2月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。