米国の連邦準備制度理事会(FRB)が7日に発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、1月から2月にかけての米国経済は「全地区で緩やかに拡大した」と総括し、物価も「全地区で上昇した」と前回1月の報告より判断を引き上げた(日経新聞電子版)。
ベージュブックでは米経済そのもの、そして物価、さらには雇用についても「緩やかに」拡大していることが示された。FRBにとってはいまのところ理想的な景気拡大となっており、これを見る限り今年も年3回としている利上げペースは維持されるよう。今年最初の利上げとなるのは3月20、21日に開催されるFOMCとみられる。
2月にFRB議長に就任したパウエル氏にとって議長として初めて望むFOMCとなることもあり、無難に利上げを決定したいところであるのではなかろうか。
ただし、トランプ政権で経済政策の司令塔だった国家経済会議のトップ、コーン委員長が辞任すると発表されるなど、米国の経済の先行きについてはやや不透明感を強めさせる出来事も起きている。
コーン委員長は、トランプ大統領が表明している鉄鋼製品などに高い関税を課す異例の輸入制限措置に反対していたとされ、過去にもいろいろと対立していたとされるが、関税を巡る見方の相違が辞任のきっかけとみられる。
ただし、ホワイトハウスはメキシコやカナダ、その他同盟国を課税対象から外す可能性にも言及し、貿易相手国に一律に関税を課すという強硬な政策は回避されるではないかとの観測も出ている。トランプ大統領が今週中に関税の詳細を発表するようである。
米国市場が大きな動揺を示すようなことがない限りは、3月21日のFOMCで追加利上げが決定される可能性は高いと思われる。しかし、米株が再度、下落基調を強めるようなことがあると利上げそのものが先送りされる可能性もありうるか。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年3月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。