「辞退談合」疑惑を解消せよ!低入札で辞退者続出の都入札制度の改善点

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

本日は都議会本会議、会期途中で議会承認が必要となる議案の中途議決が行なわれました。

平成29年度一般会計補正予算のほか、多数の工事契約案件がこれにあたります。

会派「かがやけTokyo」としては賛成はしたものの、現行の入札制度や入札実態に疑義がある点を指摘し、討論でその旨を述べました。

それは入札の意思を見せておきながら、様々なタイミング・理由で「辞退」をする事業者が不自然に多い点です。


上田令子ブログより抜粋)

例えばこの第88号議案では、15者が入札しながら実際に札を入れる前に2者が辞退、残る13者のうち実に12者が「低入札のため落札対象外」となっています。

で、ここに疑惑のカラクリがあります。

「低入札」とは、都が予定している価格の一定基準より、業者の入札価格が下回ることを指します。

低入札者は発注側の想定より「安すぎる」金額を提示してきているので、そりゃあ安ければ安いほど助かるものの、

「本当にそんな金額でできるのか?」
「落札したいあまり、無理をしているのではないか?」
「求めているクオリティを下回ってしまうのでは?」

などの疑問が生じます。

そこで、あまりにも想定価格を下回る金額を入れた業者は自動的に失格となり、ある程度の下回り方ですと「(低入)調査票」を提出することで入札資格を満たせます

「低い金額だけど、我々はこうやって施工するので、この金額で確実にできます!」

という説明を「調査票」という形で提出して、落札させてもらうわけですね。

この低入調査票を出さないとやはり自動的に失格となります。

前置きが長くなりましたが、我々が疑問視・問題視しているのは、この低入調査票を出さない業者があまりにも多いことです。

この低入調査票を出さない理由は明示されず、都側は「低入調査票の作成には(特に中小事業者にとって)事務負担がかかるため」との見解を示していました。

しかし今回の財務委員会における上田都議の質疑により、「調査票等の内容は、入札にあたって必ず作成する資料を中心」という答弁も確認されており、必ずしも事務負担が理由とは思えません。

特に今回の第88号議案に関しては、入札事業者はこれまでも大型公共事業の受注実績のある規模の大きな事業者ばかりであり、なおさら低入調査票の作成を怠って失格となった理由がわかりません。

こうした事態が頻発すると、初めから落札する気などなくて、特定事業者に案件を譲る気だったのではないか?との疑念が首をもたげてきます。

現在、小池知事による入札制度改革により、「一者入札禁止」が試行されています。

これはこれで意味のあることだと思いますが、このように「辞退」がでて、落札資格者が結局一者しか残らなかった場合は「一者入札禁止」の対象外です。

つまり、この低入調査票を出さないと自動的に失格になる、でも入札事業者としてはカウントされる仕組みでは、「辞退談合」とも呼べる手法を防ぐことができないのです。

落札する気のない事業者は、明らかに積算価格より低い金額を出して札を入れて、低入札になったらそのまま失格してしまえばいいのですから…。

現在、各方面からの指摘もふまえて、試行中の入札制度改革はブラッシュアップが図られている最中です。

こうした「辞退者」「失格者」の多さにも着目し、原因を究明して「辞退談合」を防ぐなどの視点も加えていただきたいと思います。

もとより「完璧な入札制度」というものは存在しませんが、都民にとって最も透明性の高い手法が取られるよう、議会からも政策提言や問題提起をしていく次第です。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年3月8日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。