怒りを通り越して、呆れ果てている。もちろん、森友問題の件だ。各紙、各サイトの報道を追いつつ、ときには動画ライブを追いつつ、また、官邸前行動をTwitterのハッシュタグで追いつつ、「なんだかな」と思った次第だ。
人生の中で10年に一度くらい起こる、『ゴルゴ13』マイブームの真っ最中だが、まるでこの作品に出てくる、独裁国家みたいな出来事だと思う。公文書の改竄というは。「たかが8億円」で終わらせてはいけない。また、いかにも野党とメディアが噛み付いているように見えるが、この件、たとえパフォーマンスだとしてももっと怒るべきなのは与党関係者ではないか。
私が一市民として言いたいのは、「納得のいく対応をしてくれ」という、ただそれだけだ。納得のいく対応とは、事実をより明らかにすること、しかるべき者が国民が納得のいくかたちで責任をとるということである。佐川氏の退任、およびその説明では納得がいっていない、少なくとも私は。
これに関連して、日米首脳会談を控える前であり、米朝首脳会談もあり、予算成立前であり、ここで安倍政権が倒れては国益に反するという声がある。ただ、だからといって事態を看過することはできない。問題は切り分けなくてはならない。現状、報じられていることは国家の腐敗そのものだが、これを看過するようではさらなる腐敗の連鎖になる。誰にでもわかるように説明すると、『風の谷のナウシカ』のクライマックスで巨神兵が崩れていった場面のように、国家が瓦解、溶解するのだ。
一方、この手の事件に関連して、警鐘を乱打しておきたいことがある。それは、問うべきは関係者の責任である。関係者の家族に罪はないということだ(加担していたら別だが)。
ちょうど30年前にリクルート事件が発覚した。日本の歴史に残る、贈収賄事件である。この事件については諸説ある。私は同社の元社員だが、在籍していた97年から05年にも、そしてその後にも、同社の関係者から「江副さん(逮捕された創業者)はハメられた」的なことを言う人がいたりしたのだが。それでも、逮捕された江副氏は懲役3年執行猶予5年の有罪判決を受けたのは事実である。いまだに、私のような左翼青年がなぜ、のような会社に入社し、8年半も在籍したのかは自分でも不思議なのだが。
そのリクルート事件当時、起こった問題が、社員の子供に対するいじめである。この本に載っているエピソードであるが、この事件に関連して「サンデープロジェクト」に当時の広報課長として藤原和博氏が生出演し、田原総一朗氏と対決した際に、「社員の子供がいじめられている」と告白した。実際、どれくらいの社員の子供たちがいじめられたのかは分からないし、どのように調べたかはわからない。ただ、彼は生放送でそう告白したとこの本に書いてある。
元々、祖父母の代から反自民という家庭に育ち、幼いころから政治家、官僚に対する怒りと不信の炎を燃やし続けてきた私だが、この件だけは言っておきたい。自民党、財務省関係者の子供をいじめるな、と。教育関係者は注意するべきだ。子供には何の罪もない。
この手のことが起こった時に気をつけるべきことは「この人には何を言ってもいいんだ」という行為が広がることである。それだけは避けなくてはならない。
また、関連して言うならば、罪は罪として罰せられるべきであり、納得のいく責任のとり方が必要ではあるが、過剰なそれは無意味である。よりストレートに言うならば、何が言いたいかというと、これ以上の自殺者をだしてはいけないということだ。いや、余計な心配かもしれないが。また、命をもってしてまで何かを訴えたり、隠したい人がいるかもしれないのだが(そう、心の中の悪い自分が勘ぐっている)。
というわけで、断固たる大衆的反撃の闘いを燃えあがらせる局面ではあるが、関係者の子どもたちをいじめるな、これ以上の死者を出すなと警鐘を乱打しておく。うむ。
最新作をよろしく。4月から娘が保育園で。私たちの生活がかかっている。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2018年3月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。