民主主義を揺るがす危機と、総理になりそこねたかもしれない小池知事

音喜多 駿

首相官邸サイト:編集部

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

すでに多く報じられている通り、森友問題を巡る決裁文書の改ざん疑惑は、14もの文書で大幅な書き換えが判明する未曾有の事態に突入してしまいました。

森友文書 書き換え数十カ所 昭恵氏の名削除…問題発覚後(毎日新聞)

すでに多くの有識者から指摘されている通り、これは安倍政権の退陣云々という次元を遥かに超えて、民主主義の根幹が揺るがす危機だと思います。

言うまでもなく、民主主義における主権者は国民(市民、人民、有権者)です。

主権者が適切に意思決定を行うためには、行政から正しい情報が出てくることが大前提。だからこそ、公文書については極めて厳格にルールが定められています。

ここが歪めば、民主主義は成り立ちません。

それが「ミス」「訂正」などと到底言えるレベルではなく、主権者の代表者で構成される立法府宛に提出された資料で大規模な改ざんが行なわれたことには、言葉で言い表せないほどのショックを受けています。

「情報開示請求して、本当の情報が出てくると思えない」

という声が出るのはもっともな話であって、情報公開における「黒塗り」などというレベルを遥かに超えて信頼を失いました。

さらにはこれが「省庁の中の省庁」と呼ばれる財務省で起こったこと、独立した権限を持つ会計監査院がこの書き換えに気づきながらも対応しなかったことが、事態の悪化に拍車をかけています。

当然、現場のトップが責任を取って済むレベルではありません。

政治的には、どれだけ政権が庇おうとも、財務大臣の進退にまで発展することは避けられないでしょう。場合によっては、安倍内閣の退陣まで追い込まれるかもしれません。

一方でこれを、「政権の問題」だけに矮小化することも、また間違っています。

「官僚国家」と揶揄されてきたわが国で、民主主義の鉄則が踏みにじられてきたことが露呈した以上、財務省のみならず霞が関の抜本改革・公務員制度改革の断行は不可避です。

逆に言えばそれができず、内閣を交代させるだけでは、本質的な解決にはならないと思います。

確かに外交防衛など喫緊の課題は多岐にわたりますが、この民主主義の根幹にかかる問題への対応に時間を費やすことは妥当な対応です。

明日以降の国会での追及に、引き続き注視していきたいと思います。

ここからは、完全な余談になります。

個人的な読みでは、安倍内閣の進退まで発展する可能性があると感じているものの、それでも自民党に替わる野党が存在しないことがわが国の悲劇です。

歴史にifはありませんが、

もし小池知事が、先の解散総選挙で国政に手を伸ばしていなかったら。
都政で真の「情報公開」を筆頭とした改革を、着実に推し進めていたら。

小池知事への待望論は最高潮を迎え、次の選挙では政権交代が視野に入る地殻変動が起きていたのではないかと思えてなりません。

小池総理、あっただろうな…。

官僚機構や古い政治の「ブラックボックス」を問題視したその嗅覚が極めて正しかっただけに、日本の政治を真に変えるチャンスが当面の間失われたかもしれないことに、改めて落胆せざるを得ません。

私はそこに期待をして、信じて、あのとき改革に身を投じたのにな、と。

…とはいえ、過ぎたことは過ぎたこと。

13日からは予算特別委員会が本格的にスタートします。都政において自らの職責を果たし、政治を前に進める努力を重ねたいと思います。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年3月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。