19日に公表された2018年3月8、9日開催された日銀の金融政策決定会合における主な意見には下記のような意見が出ていた。
「量的・質的金融緩和への反対意見の中には、心理学で認知的不協和と言われるものがある。これは、自分の認識と新しい事実が矛盾することを快く思わないことである。量的・質的金融緩和で経済は良くならないという自分の認識に対し、経済が改善しているという事実を認識したとき、その事実を否定、または、今は良くても将来必ず悪化すると主張して、不快感を軽減しようとしている。」
「量的・質的金融緩和で経済は良くならない」というよりも、量的・質的金融緩和によってどのように物価が上がり、それが経済にどのような影響を与えているのか。物価が上がらずとも、景気は拡大しているのは何故か。もし、大胆な緩和が物価上昇は促さずとも、雇用等の景気回復に好影響を与えているとすれば、どのような波及経路によるものなのかが問題点ではなかろうか。
そもそも日本の景気回復には、日銀による量的・質的金融緩和政策というか、現在の長短金利操作付き量的・質的緩和政策だけが影響しているのか。そうではなく、欧米の景気拡大や中国の景気減速からの回復などが大きな影響を与えているのではないのか。
そもそも日銀の金融政策だけで景気や物価は動かせると言う前提に間違いはないのか。このあたりの検証が必要ではないのか。
どなたの発言なのかは知らないが(何となくわかるが)、心理学で認知的不協和を持ち出すのであれば、量的・質的金融緩和で物価は上がるという自分の認識に対し、物価が上がらないという事実を認識したとき、その事実を否定、または、今は上がらなくても将来必ず上がると主張して、不快感を軽減しようとしているのではなかろうか。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年3月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。