世界GDPの10%を占める観光産業の潜在力

こんにちは、都議会議員の鈴木邦和です。今日は過日の委員会で質疑した、東京都の観光政策をご紹介します。まずは、こちらの写真をどうぞ。

上記はすべて都内の観光スポット。東京都の観光公式サイトに掲載されている写真です(参照:GO TOKYO)。私も都議会議員になって改めて感じましたが、東京は多様な魅力を持っていますよね。ちなみに写真は上から小笠原諸島、昭和記念公園、東京ミッドタウン、向島百花園でした。

昨今、観光産業は急速に伸びており、2015年には世界のGDP総額の10%を突破しました。いまや観光産業は世界経済において、エネルギー、化学製品に次ぐ「第3の基幹産業」という位置づけです。一方、日本における観光産業は、GDPの7%ほどの寄与度。まだまだ伸び代があります。

私が観光政策に注目している理由の一つは、短期の景気浮揚策ではなく、長期的に成長を期待できる経済政策だからです。観光庁が誕生して、主にビザが緩和された事によって、2008年に835万人だった訪日外国人観光客は、2017年に2.869万人になりました。これは小泉政権時代から続く、政治の明確な成果です。

東京都でも、外国人旅行者数がこの10年間で約2.7倍に増加しました。一方で、東京都を訪れる外国人一人当りの消費額は、2016年でわずか8.3万円であり、世界の観光都市と比較すれば低額です。今後、観光収入を上げていくためには、観光客一人当たりの消費額向上が不可欠です。

そこで、私が先日の委員会で下記を提案し、担当局から答弁を頂きました。

Q.(鈴木)
観光客一人当りの消費額を高めるためには、富裕層へのアプローチが重要。富裕層の取り込みを考えるならば、高級な宿泊施設の整備は前提である。しかし、日本には、例えば5つ星ホテルが2016年時点で28件あるものの、これは主要観光立国の5分の1程度、アメリカと比較すれば、実に27分の1程度しかない。

5つ星ホテルの数とその国の観光収入との間には、0.911という高い相関係数が見られている。これは、観光客の消費額のうち、宿泊費が25%もの割合を占めるからだと考えられる。観光消費額を上げるためには、富裕層をターゲットにした宿泊施設の整備を支援していくべきではないか。

A.(産業労働局)
来年度から、富裕層向けの旅行商品を開発する事業者等からなる国際的なネットワークを活用した誘致を実施。高級ホテルの進出に必要な条件や国内外の他都市の取組事例等についても調査し、富裕な旅行者層の受入環境の整備に向けて検討。

私が所属する経済港湾委員会は、市場移転の問題がよく話題になります。もちろん重要なテーマです。しかし、東京が将来的にも豊かな経済を維持していくためには、成長分野における戦略的な政策投資こそ最も重要だと私は考えています。政治が担う「富の再分配」機能は、富そのものがなくなれば維持出来ないからです。

先日のホテルシップの活用なども含めて、残り3年4ヶ月の任期中に一つでも多くの政策提案が出来るように、日々勉強と調査を続けていきたいと思います。


編集部より:この記事は東京都議会議員、鈴木邦和氏(武蔵野市選出、都民ファーストの会)のブログ2018年3月22日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は鈴木氏のブログをご覧ください。