議会改革はどこへ…?事実上の「議員年金復活」に賛成し、口汚いヤジが飛び交う「ふるい議会」

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

3月28日の「地方議会議員年金」の話について触れたいと思います。

なかなか大きなニュースにはなっていませんが、いま国政ではかつて廃止された「地方議会議員年金」を復活させようという動きが顕著になっています。

以前に存在した地方議会議員年金は、わずか在職12年で多額の年金が支給されるなど特権的なもので、世論の高まりや財政逼迫を受けて2011年に廃止されました。

しかしながら年金受給者はまだまだ数多く存在するため、今も公費負担は継続しています。

この議員年金制度が「地方議員のなり手不足」という理由で、議員立法によって再び制定されようとしているのです。

今回、制定が目論まれている地方議会議員年金は、地方自治体を雇用主と見なして厚生年金に地方議員を加入させるという仕組みです。

「以前のように特権的なものでなければ、いいんじゃないの?」
「厚生年金には会社員も入れるのだから、何が問題なの?」

との声もあります、果たしてそうでしょうか。


(おときた駿事務所作成)

地方議員が厚生年金に加入すると、雇用主が地方自治体であるため公費投入が発生します。国民・都民に新たな負担をお願いするわけです。

そもそも多くの個人事業主が国民年金で人生設計をやりくりしているのに、地方議員を「老後の生活が心配だから」と厚生年金に加入させてあげるなど、まったく筋の通らない話です。

この理屈が通るなら、日本国中の国民年金しかもらえない人々の老後を心配しなければならないはずです。

多くの国民が入れないものに加入できて、しかも税負担。これは十分に特権的な事実上の「議員年金の復活」となっています。

進次郎氏「筋が通らない」…地方議員年金を批判 : 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180325-OYT1T50077.html?from=tw

国政でも小泉進次郎氏などが反対を表明しておりますが、残念ながら少数派。

このまま放っておけば、選挙のない今年中に(来年の統一地方選挙前に)議員立法として成立してしまう可能性が高いと言えるでしょう。

そこで今定例会では、「日本維新の会 東京都議会」および「都議会生活者ネットワーク」の賛同を得て、「地方議会議員年金の反対に復活する意見書(案)」を議会運営委員会に提出し、議決を求めました。

しかしながら、他のすべての会派(都民ファーストの会、自民党、公明党、共産党、民主党・立憲民主党)はこれに反対し、議員年金の復活(厚生年金への加入)を容認する姿勢を鮮明にされ、残念ながら廃案となりました。

現在、議会改革として報酬2割カットなどを行う一方で、新たな公費負担が発生する議員年金復活に賛成する。これは明らかに矛盾するスタンスです。

選挙公約で「議会改革」を一番に掲げた最大会派である都民ファーストの会の議員の中には、すでにSNSなどで「議員年金復活に反対」の姿勢を鮮明にしている議員も複数みられます。

本当に党内で議論が尽くされ、大多数が議員年金がほしいと思っているのか、疑問に感じざるを得ません。

やながせ都議も指摘しているように、都議会では今年に入ってから「議会改革検討会議」が一度も開かれていないなど、明らかに議会改革は後退・停滞しています。

議会基本条例の制定など、都民の皆さまにお約束をしたことは一体どこへ行ってしまったのか?

議場では口汚いヤジが飛び交い、スタートからわずか半年ちょっとで、第20期都議会はすっかり以前と変わらない「ふるい議会」に馴染んでしまいました。

今の都議会のこうした実態を知っていただき、都民の皆さまとともに声を上げ、真の議会改革を進めていきたいと思います。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年3月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。