またもホワイトハウスに激震が走った。ティラーソン国務長官が、解任されたのだ。3月13日、トランプ大統領は、自身のツイッターで発表している。後任は、ポンペオCIA長官。ポンペオは、北朝鮮に対して武力行使も辞さないという強硬派だ。
さらに15日、トランプ大統領が、マクマスター大統領補佐官の解任を決めた、と複数のメディアが伝えている。後任だと言われているのが、ジョン・ボルトン元国連大使だ。ボルトンは、かつてアメリカをイラク戦争に駆り立てた、「ネオコン」の代表格である。
トランプ大統領はいったい、何をしようとしているのか。
アメリカ国民の多くは、イラク戦争を大失敗と捉えている。だから大反省をした。そして黒人初の大統領である、オバマ大統領が誕生したのだ。それなのに、だ。「ネオコン」であるボルトンを起用するとは、どういうことなのか。
3月5日、韓国の特使団が北朝鮮を訪問した。そして特使団トップが金正恩と会談した際、北朝鮮側が「北朝鮮の体制の安全が保証されれば、核を保有する理由はない」という立場を表明したという。つまり、アメリカの態度によっては、核を放棄するというのだ。
この訪朝結果を報告するため、特使団トップはアメリカを訪れた。ホワイトハウス幹部の北朝鮮に対する不信感は強い。だから、北朝鮮の申し出をトランプ大統領は冷たくあしらうだろうと誰もが思っていた。
ところが、トランプ大統領は、誰にも相談せず、5月の米朝会談を決めてしまったのである。これには世界中が仰天した。
トランプ大統領は「武力行使も辞さない」「徹底的に圧力をかけて締め上げる」と言い続けてきた。それが、ここにきて豹変したのだ。なぜなのか。
いま、トランプ大統領の頭の中は、99%が「中間選挙」で占められている、とみて間違いない。現状、上院は共和党の勝利だろうと見られている。だが、下院は危ないと言われている。
そこでトランプ大統領は、中間選挙に勝つために、次のように考えたのではないか。つまり、自分はブッシュ前大統領、オバマ元大統領と違って、北朝鮮に対して、武力行使をすると徹底的に圧力をかけた。だから、金正恩はその圧力に参ったのだと、そう世間にアピールしたいのだ。今回の金正恩の申し出、つまり米朝会談を受けることで、「俺が勝った」と言いたいのだ。
トランプ大統領が側近を「強硬派」で固めるのも、アピールの一環だろう。さて、その米朝会談は、いつ、どこで行われるのか。そして、その結果はどうなるのか。世界中が注目している。
編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2018年3月31日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。