米国で3月30日にグッドフライデーの祝日を迎えるにあたって、筆者の恩師を含め10人近くのニューヨーカーが日本を訪れました。なぜこの時期に集中するのかと思ったら、グッドフライデーを挟む週はお花見シーズンと重なっていたんですよね。今さらながら、気づいた次第です。
大挙して日本にやって来たニューヨーカーが帰国していったタイミングで思い立ち、アメリカ人の旅行者数を調べてみました。ギャラップによると、2017年に長期休暇を取って国内あるいは海外へ旅行に出掛けたアメリカ人は、62%。過半数がバケーションを楽しんだと思えば、強い数字に見えますよね?ところが、統計を開始した2001年の70%には、遠く及ばなかったのです。失業率は2000年末以来の低水準で、消費者信頼感指数も同じく約18年ぶりのレベルで高止まりするものの、バケーションを楽しんだ割合は低下していたのですね。ここに里帰りも含むとなると、確かに高いとは言えません。
ソーシャルネットワークの普及に乗じ、”モノより思い出”、”モノ消費よりコト消費”などの言葉がヘッドラインを飾ってきたわけですが、旅行ともなれば外食やコンサート・チケットより出費がかさむため、慎重となったのかもしれません。いくら旅行に出掛けたくても、金欠に陥れば余計なストレスを抱える羽目に陥ってしまいますし。
バケーションを取らないアメリカ人の比率が上昇した一因として、伸び悩む賃金が挙げられます。米連邦公開市場委員会(FOMC)がいかに労働市場の逼迫を指摘しても、年初来からの雇用統計が示す通り平均時給の前年比3%超えを達成していません。
労働参加率を振り返ると、平均時給が伸び悩む背景が浮かび上がってきます。2月に労働参加率がハリケーン以降の低下を打ち消した時は、黒人の労働参加率が前月から0.9%ポイントも急伸したことが支えになっていました。翌月の3月の雇用統計では労働参加率は一転して62.9%に低下しており、”労働逼迫”が指摘される割に頼りない数字が続きます。
3月の労働参加率低下はアジア系以外でみられる傾向ながら(白人:63.0%→62.9%、黒人:62.9%→62.7%、アジア系:62.7%→63.1%)、ヒスパニック系で特に低下が目立った点は注意が必要です。悪天候で建設や小売の就労者数が減少しましたが、ヒスパニック系は2月の66.2%→3月に65.8%と下振れしており、彼らが一時的に労働市場から退出したことが響いたと考えられる。直近の労働参加率が示す通り黒人やヒスパニック系の動向に左右されているのであれば、たとえ労働参加率が改善しても米2月雇用統計で顕著で確認したように賃金の伸びが抑えられかねません。
(作成:My Big Apple NY)
さて、日本では米国に遅れて4月末にゴールデン・ウィークがやってきます。皆様、既に旅行などプランは立てられましたか?筆者は寝正月ならぬ寝GW決定ですが、子供がいらっしゃる方々はそうもいきませんよね。JTBによれば、2017年の総旅行者数は前年比1.7%減とはいえ、2,360万人でした。およそ6人に1人が帰省を含め、旅行を楽しまれたことになります。今年は5月1日と2日に有給を取得すれば9連休を満喫できるだけに、前年超えを達成してもおかしくありませんね。
(カバー写真:Rose Trinh/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年4月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。