かなり民主化が遅れてる日本の医療業界 --- 鈴木 智詞

寄稿

最先端高度医療だとか遠隔地医療だとか、一般紙にも文字が踊る。さも、日本の科学技術で医療が進歩しているかのように思えるが、実際にはそんな事は全くない。

例えば、各医療機関への連絡は、未だに電話やファクシミリ、そして郵便で行なっている。そして、院外へ出す処方箋や医師の紹介状も、手段は前述と同様。電子メールすら、もしメールアドレスを間違えて、個人情報が医療機関以外へ送られたら、「その責任はどうするの?」という屁理屈で、電子メールの活用は医療機関には無い。そんな事を言えば、「もしFAX番号を間違えたらどうするの?」へ帰結するのだが、医療業界は思考停止をしているから、そんな議論すら起こりません。

個人のプライベート程度すら、IT化されていない医療業界。医療機関専用のSNSを活用すれば、先に問題提起した課題が効率化されるのにしない。

いろんな日本の業界がAIの活用を検討する中、医療業界はそんな動きが全く無い。これには理由がある。

日本医師会が実際は医師不足ではないのに、医師の給与水準を死守しようと躍起になっているからだ。医師不足と言い張る原因は、薬剤師や看護師、その他技師などへ医師業務を分業させず、医師の高給を維持する為なのだ。

医師業務を軽減するには、先に論じた分業とIT化やAI導入でコストパフォーマンスを鑑みれば良いのだが、日本医師会はそうは動かない。

日本医師会は医療関連法の不備を大義名分に、医薬分業において、調剤薬局の経営者へ袖の下を要求してきたのは、領収書などの公文書で証拠が残っていないだけで事実。「医師への忖度」で片付けられる内容なのだ。

しかしながら、18年度の診療報酬改定に関して、日本医師会の会長が「調剤薬局は儲けすぎ」とか、病院や診療所、開業医のほうが圧倒的に多いにも関わらず、「薬局は多過ぎ」などと、医師の立場を利用したハラスメントや医師への賄賂を忍従してきた薬局への裏切り行為は、到底、許容できるものではない。

日本の医療費削減の為、様々な議論で盛り上がっているが、先ずは、日本医師会と医療制度の不備を放置した厚生労働省を糾弾すべきと、僕は思う。

鈴木 智詞
中小の調剤薬局、大手ドラッグストア、急性期病院での薬剤師を経て、現在は調剤薬局の店長をしている。