3月30日の定例閣議は2018年度から5か年間の第4次障害者基本計画を決定した。国の障害者政策は基本計画の下で実施されるため、これは重要な決定である。しかし、朝日新聞と日本経済新聞が小さな記事で報じただけで、下世話な話が好きなメディアの関心は薄い。
「2020東京パラリンピックも契機として、社会のバリア(社会的障壁)除去をより強力に推進」「障害者権利条約の理念を尊重し、整合性を確保」「障害者差別の解消に向けた取組を着実に推進」「着実かつ効果的な実施のための成果目標を充実」が新基本計画の四本柱である。
第4次計画は第3次までよりも情報通信の活用を強く打ち出している。旧計画では「情報アクセシビリティ」という項目が立てられていたが、新計画では「情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実」に改められた。そして、意思疎通支援のために「人材の育成・確保やサービスの円滑な利用の促進、支援機器の開発・提供等の取組」を行うことになった。情報アクセシビリティについても、新計画は「障害者に配慮した情報通信機器・サービス等の企画、開発及び提供の促進や、障害者が利用しやすい放送・出版の普及等の様々な取組」と具体的である。
旧計画では「教育,文化芸術活動・スポーツ等」と一括りにされていたが、新計画では「教育の振興」が独立した。その中には次の項目がある。
障害のある児童生徒の教育機会の確保や自立と社会参加の推進に当たってのコミュニケーションの重要性に鑑み、デジタル教科書等の円滑な制作・供給やコミュニケーションに関するICTの活用も含め、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた教科書、教材、支援機器等の活用を促進する。
すでに記事にしたように「学校教育の情報化推進法案」では障害を持つ児童生徒の学習に際して、デジタル教科書等でのアクセシビリティ配慮を国に義務付けているが、上の方針はこれと軌を一にするものである。
新基本計画がこのように情報通信の活用に積極的なのは、情報社会の進展を考慮すると正しい方針である。メディアは報じていないが、ぜひ、新基本計画を読んでいただきたい。
山田 肇
『ドラえもん社会ワールド 情報に強くなろう』監修