マニラ湾「慰安婦像」撤去の舞台裏

河井 克行

4月27日(金)深夜、フィリピンの公共事業・高速道路省とマニラ市によって、マニラ湾沿いの「慰安婦像」が撤去され、トラックで運び出されました。

今年1月17日、私はマラカニアン宮殿でドゥテルテ大統領と会談を行いました。大統領と二人きりで行なった会談の中で、私は「像」設置に関する懸念を大統領に直接述べました。

その会談終了後、日本メディアの取材に対して私は「大統領から『しっかりとした措置を取る』との表明があった」旨の発言をしたのですが、実を言えば、大統領との間ではもっと突っ込んだやり取りがありました。今回の撤去は道路工事のためと説明されていますが、情理に篤いドゥテルテ大統領が、あの時の約束を守ってくれたものと私は信じております。

その後の2月18日、ドゥテルテ大統領が最も信頼する閣僚から「撤去は4月末までに実施する予定」とのメールが、私の携帯電話へ送られてきました。まさにその通りの日程での「像」撤去となり、フィリピンの友人たちに心から感謝しています。

一昨年夏、大統領選挙に当選したばかりのドゥテルテ氏を出身地ダヴァオ市に訪ね、安倍総理からお預かりした親書を手渡して以来、大統領とは8回の会談を積み重ねてきました。海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」に、外国の元首としては初めて乗艦した大統領をご案内したこともありました。

さらにはこの間、閣僚たちや大統領の旧友たちとも個人的な信頼関係を深めてきました。それだけに、中国系の団体がマニラ湾を臨む風光明媚な公道に「像」を設置した報に接したときは大きな衝撃を受けたものでした。

フィリピン共和国は、安倍総理大臣が強く提唱する『自由で開かれたインド太平洋戦略』を推進するうえで不可欠な大切な国です。今回の措置は日本とフィリピンのいっそうの友好親善に大きく貢献する画期的な出来事であります。両国の関係深化のため、そして何より日本の国益のため、私はこれからも汗を流してまいります。

写真は、旧知の閣僚の一人から送られてきた「像」撤去後の現場と、私が視察したときの「像」、そして1月のドゥテルテ大統領との会談です。


編集部より:この記事は、自民党総裁外交特別補佐、衆議院議員・河井克行氏(広島3区、自由民主党)氏のブログ「あらいぐまのつぶやき」2018年4月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。