「アメリカ西海岸では、タクシーはほとんどないから、UBER(ウーバ―)は必須。事前に、アプリをダウンロードしてくるように」
サンフランシスコの友人からあらかじめ聞いていましたが、滞在中は本当によくUBERを使いました。
UBERのアプリに、目的地を地名や地図で入力すると、費用と、近隣のUBER車が検索されます。それを見たドライバーが応じると契約成立です。とーっても簡単です。クレジットカードから費用が引き落とされます。
UBERのドライバーも、目的地とそこまでの道順をUBERで確認しているので、
1)言語が通じなくても安心
2)道に詳しくなくても大丈夫
という大きな利点があります。
日本の一部のタクシーのように、「私、英語分かりません。」とか、「そこは、知りません。」ということはありません。とーっても便利です。
1週間の間に、アメリカ出身の方だけでなく、中国人、ドイツ人、ブラジル人とたくさんのドライバーにお世話になり、多国籍国家アメリカを実感しました。中には英語が通じない人もいましたが、目的地まで安心して行くことができました。
日本の一部のタクシーでは、距離が短いと、舌打ちをされたり、回り道をされることもありますが、UBERではあらかじめ目的地と行き方を共有しているので、そういうこともありません。
アメリカでは、カーナビもほとんど見かけません。このように携帯を運転席の横に置いて運転します。
日本の法律で、携帯のこのような使い方が禁止されているのが不思議になりました。わき見運転は危険だと思いますが、運転中に操作をしなければ、カーナビを見るのと何が違うのでしょうか?
乗車後は、必ずドライバーに星をつけて、チップを支払います。日本のタクシーのように行政当局の限られたリソースで質を担保するより、UBERのようにみんなで評価した方が合理的かもしれません。
⇒ 竹中平蔵氏との対談で、安部敏樹の「本質を見定める力」が際立つ本『日本につけるクスリ』
費用は一般的に、タクシーと変わらないか、タクシーより安いくらいです。日本のタクシーと異なり、距離ではなく時間によることが多いので、空港から市内までフリーウェイを飛ばしてもそれほど費用はかかりません。
面白いのは、費用は毎回同じではなく、時間帯、需要と供給のバランス、渋滞の有無、これまでのユーザーの利用歴などにより費用が変動することです。
日本の伝統的なお寿司屋さんのように、相手を見ながら費用を決めているわけですが、日本の伝統的なお寿司屋さんが限られたお客さんだけを対象としているのに対して、UBERはアルゴリズムで全ての利用者を対象としているところがすごいところ、恐ろしいところです。
空港から電車の最終便がなくなった途端に、費用が大幅に上がったのには驚きました。アマゾンもそうですが、消費者の情報・特性を把握することが収益の一番の鍵になっています。既存のさまざまな業界には、大きな脅威でしょう。
一方、利便性と利潤を最大化するUBERの時価総額は、今や700億ドルとも800億ドルとも言われています。全ての規制が悪いわけではもちろんありませんが、UBERに象徴されるように、さまざまな規制により新しいサービスが生まれにくくなっている、大きなチャンスを逃してしまっているということも、もう少し自覚してもいいのかもしれません。
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<井上貴至 プロフィール>
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<井上貴至の提言>
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編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2018年5月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。