16年3月結成された民主・維新の合流新党「民進党」は約1年半で瓦解・分裂し、それから半年超で国民党(旧希望の党)を吸収し国民民主党となりました。いま民進党や国民党の主張は一体何であったか、国民に何を訴えたかったのかと考えますと、此の2年以上を振り返ってみても、私には全く思いつきません。結党以来これらの党には主張が無く、存在価値が無かったということでしょう。
これまで当ブログで幾度も指摘したように、中国古典流に言うと政治というのは三つの要素「政道・政略・政策」に分かれます。その一つ、政道とは正に政治の根本中の根本であり思想・哲学に当たる部分です。此の政道の違いをある意味象徴しているのが政党の違いであります。野党の皆さん方は党の存在とは如何なるものかと、今一度振り返って考えてみる必要があるのではないでしょうか。
国会活動を通じても、彼らは明けても暮れても「モリカケ批判」ばかりでした。勿論、何も追及するなとは言いませんが、マスコミの公表を本に国会での大切な時間を国会議員が浪費し続けるのは可笑しいと言わざるを得ません。野党議員は本来の重要事項の審議に集中し、当該問題は司直の手に委ね司法当局が究明すれば良い話ではないかと思います。
本日より漸く19日ぶりに国会審議が正常化するようですが、此の間国会に出席もせず何もしなかった野党議員にも我々の血税が充てられています。ある記事に拠れば「国会を欠席しても、約2100万円の歳費と1200万円の文書通信交通滞在費は満額で支払われる。ならば、せめて自主返納するという声がなぜ野党から起きないのか、という議論も起きている」ようです。
一昨日、英国の野党研究センター共同創業者のナイジェル・フレッチャー氏によるインタビュー記事が日経新聞に載っていました。曰く、野党の仕事とは「一つは与党の政策を厳しく監視すること、もう一つは潜在的な次期政権として国民に代替案を示すことだ。(中略)最も重要なのは人々を結束するアイデアや理念を示すことだ。これがしっかりしていなければいかなる政権批判も重みを持たない」とのことであります。
現政権批判を強めるのであれば、野党各党は「代替案を提示せよ」。正に此の一言に尽きるでしょう。今後日本はどうやって此の少子高齢化の世界を生き抜いて行くべきか、これから我国の憲法・防衛・外交はどうして行くべきか等々、国政政党たる本来的課題に対し野党は国民に建設的な政策を示さねばならないのです。
野党の皆さん方には悪いけれども、国会でモリカケ批判の類ばかりをやり続けることを、国民は良しとしていないと思います。事実、各種世論調査が示す通り「安倍内閣の支持率が低迷しているにもかかわらず、野党の支持率が上がる気配は見られない。野党への期待値はゼロに等しいということ」でしょう。
仮に国民の間でモリカケ追及に対する期待だけが際立って高まっているよう思わせているのだとしたら、何時も正しいとは限らない世論形成に大きな力を持つマスコミも大罪だと私は思います。寧ろマスコミは、国会がモリカケ一色であることを問題視し、日本の将来を左右する沢山のアジェンダが置き去りにされ続けている現況を憂い、野党各党を厳しく批判すべきです。
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