「日本人でいるのは都合がいいから」蓮舫こそ“レイシスト”では? --- 山田 高明

寄稿

 「しまリアル」さんが過去の蓮舫発言を発掘し、ツイートされたことで話題になっている。

それによると、かつて蓮舫氏は、「本当に帰化したことに後悔はないのか」と訊かれ、次のように答えていた。


「今、日本人でいるのは、それが都合がいいからです。日本のパスポートは、あくまで外国に行きやすいからというだけのもの。私には、それ以上の意味はありません。いつのことになるかわかりませんが、いずれ台湾籍に戻そうと思っています」

私は今まで「蓮舫二重国籍問題」に関して、失笑することはあっても、何か怒りを覚えるような感情はなかったのだが、この発言に対しては少し腹が立った。

蓮舫は元民進党代表で、今は立憲民主党議員。要は国民の代表者。

だから、余計に不思議に思う。

日本人でいるのは「それが都合がいいから」に過ぎず、日本のパスポートは「外国に行きやすいから」以上の意味はないとまで思考し公言する人間が、なぜ日本の国会議員になろうと思ったのか、なってどう国家同胞に奉仕するつもりだったのか、と。

蓮舫発言は人を愚弄するものである

まあ、生まれつき日本人でも、与野党問わず、私利私欲だけで政治家になる者も一杯いるわけで、この点だけをもって蓮舫を責める気はない。

しかし、外国系の自分を受け入れてくれた国と人々に対する感謝・敬意・愛情といった感情が一片も感じられない、このモノの言い様は、どうか。

私はこれに腹が立ったのである。これが問題なのである。

なぜなら、控えめに言っても、これは失礼では済まされない。その国の人々の感情を著しく害する侮辱行為である。その国以外の人々が耳にしても不快に感じるという意味では、日台関係に限らない、万国共通・普遍的に嫌悪される言動である。

何だったら、英訳して外国人記者クラブでバラ撒いてみればいい。誰もが眉をひそめるか、日本人に代わって憤ってくれるだろう。

日本だけじゃなく、どの国のパスポートに対してもこんな発言は許されないのだ。

たとえば、私だって、仮に韓国のパスポートに対してこのようなことを言っている帰化系韓国人を見かけたとしたら、強い不快感を覚えるだろう。

また、仮に都合がいいという理由で韓国籍や中国籍を取得したとしても、向こうの人たちに対して、このようなモノ言いだけは絶対にしないだろう。

その国の人々の祖国に対する想いは、どの国であれ尊重されなければならない。

どっちがレイシストだ!?

だから、これは、日本人に対しては何を言ってもよい、愚弄しても構わない、何をしても許されるという、無意識的な軽侮・差別意識の顕れではないか。

仮に中国人やアメリカ人相手だったらこんな発言をしていただろうか。おそらく、口が裂けても言わないはずだ。日本人相手だから、いくらナメてもいいと思っているのだ。

ちょうど韓国を引き合いに出したついでに、次のような例えをしてみよう。

仮に、実生活上の利便性から韓国籍を取得した外国人がいたとして、「都合がいいから韓国籍になっただけだ」などと公言すれば、どのような審判を下されるだろうか。

分かり易いように、字を入れ替えてみよう。

「今、韓国人でいるのは、それが都合がいいからです。韓国のパスポートは、あくまで外国に行きやすいからというだけのもの。私には、それ以上の意味はありません。いつのことになるかわかりませんが、いずれ○○籍に戻そうと思っています」

こんな発言をすれば、「韓国人を愚弄した」とか、「韓国人の祖国を愛する気持ちを踏みにじった」というふうに見なされること必至ではないだろうか。

たちまち、やれヘイトだ、やれレイシズムだと、糾弾されるだろう。他ならぬ反レイシズムを標榜する者たちから。

彼女とその同調者たちは、当該問題が提起された際、批判者に対して“レイシスト”“血統差別主義者”の烙印を押し、二重国籍問題の本質をすり替えた。

しかし、彼らが掲げる価値観からすると、むしろ蓮舫こそがレイシストではないか。

しかも、蓮舫は帰化済みの人たちみんなに迷惑をかけた。彼女の放言のせいで自分たちまでが疑いの目で見られないか、彼らは心配しなければならなくなった。

それにしてもブーメラン女王とはよく名づけたものだ。

批判者をレイシスト呼ばわりしていた本人こそ、実はそうだったというオチである。

(フリーランスライター・山田高明 ブログ「フリー座」運営)