平成生まれが「学歴は必要」と思わなくなった理由

黒坂 岳央

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

キャリコネニュースに興味深い意識調査がありました。

平成生まれが「学歴必要」と答えたのは4割

昭和生まれが「学歴必要」と答えたのは6割

データ引用元:幸せな人生に学歴は必要なのか――平成生まれの6割「学歴はなくてもいい」 大卒であることのメリットなくなってる?

という結果だったそうです。昭和生まれと平成生まれの間に、学歴の必要性について考え方の違いが出ています。この意識調査の結果について、思うところをお話したいと思います。

就いている職業によって答えは違う

そもそも、「学歴は必要か?」という質問は年代以上に、聞く人の職業でかなり違いが出るものと考えます。

エリート官僚や医師、大学教授といった層にこの質問を投げかければ、とても高い割合で必要だと返ってくるでしょう。これは当たり前のことです。彼らの就いている職業は、いずれも高学歴であることを必要とするからです。

そして若くてIT起業家として活躍している経営者にこの質問をすると、学歴は不要という答えが官僚たちへ聞くときより高い割合で返ってくるのではないでしょうか。例えば私の知人に大学入学後、ITビジネスで起業をして大学を中退した人がいます。彼は「大学に行って得られたことは、若い時間をモラトリアムに費やすのはもったいないという感覚だった」と言います。こうした人は学歴の力を借りなくても今の地位を築くことが出来たと思われるため、学歴は不要と答えるのではないでしょうか。

ですので、そもそも就いている職業によって学歴の必要性についての考え方は大きく違うということです。

年代による考え方の違いが生まれる理由

それでは昭和生まれ、平成生まれと年代による考え方の違いについて考えてみます。

昭和生まれは平成生まれと比べて、職業選択の幅が比較的狭かったのではないかと予想します。いや、ロールモデルがハッキリ見えていたというべきでしょうか。大企業に入社し、定年まで働ければ安定した老後生活を送ることが出来る、と。これは「就職」というより、「就社」という感じですが、それに必要なのは学歴だったわけです。今日でも学歴フィルターは依然として存在するのですが、昭和はそれがより顕著だったものと私は考えています。当然、そうした環境を経て就職した昭和生まれの脳裏には「学歴は必要」という考えになるのは自然なことだと思います。

翻って平成生まれについては、「就社」という概念が通用しない時代に就職をしています。「大企業に入っても安泰ではないぞ」と上の世代から脅され、ITにより、かつてと比べると比較にならないスモールスタートの起業の土台があるわけですから、「高学歴」が水戸黄門の印籠のように効力を発揮するとは思っていないのではないでしょうか。

学歴の必要性は生き方で異なる

で、結論的に学歴は必要かどうか?ということについていえば、「それはどう生きたいか?というライフプランによる」というのが私の答えです。

私は会社員として東京にある複数の外資系企業で働いてきました。最後に働いていたオフィスでは、マネージャークラスは皆当たり前のように海外大学院を卒業してMBAを持っていました。MBAを持っていないマネージャーはほとんどいませんでした。フロアには東大卒、海外の大学卒など一流大学卒ばかり。元々、不良生徒が先生を殴って退学させられたようなド底辺工業高校卒の私は、「海外の大学に行ったからこの会社に入ることができたんだな」と感じましたね。高卒では面接に呼ばれることもなかったでしょう。東京ではエリートたちとグローバルで規模の大きいプロジェクトをさせてもらいましたが、あの仕事の経験は遅咲きながらも学歴を獲得したからこそ、得られた経験だと思っています。

しかし、今の私はフルーツビジネスの起業家をやっていて、この仕事には学歴は必要ありません。自分の学歴が役に立った事は一度もありません。お客様は私の学歴にお金を払っているわけではなく、私のプロダクトに価値を感じてお金を払ってくれているので、そこに学歴の入る余地は一切ないわけです。

大きな会社に入って規模の大きい仕事をバリバリやりたい、と言うならば学歴を得て下さい。そうしなければスタートラインに立つことすら不可能というのが実情なのです。起業家として自分のエネルギーだけでビジネスをしたい、ということであれば中卒でも関係ありません。どう生きたいか?それをまず選んだ上で、学歴の有無を考えるといいのではないではないでしょうか。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。