相手に責任を転嫁する「誤解を招いた」は、最低最悪の謝罪表現

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

大きな話題となっている日大アメフト部による「悪質タックル」の問題は、加害者側の選手本人が記者会見を行なったことで急展開を迎えました。

アメフト 日大選手「監督が “つぶせば出してやる”」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180522/k10011448151000.html

もちろんこの選手が犯してしまった行為は許されるものではありませんが、顔を出して記者会見に臨み、自らの責任を全面的に認めながら事実を語る姿勢は誠実さが感じられるものでした。

怪我をされた選手の快復を心より祈念するとともに、前途ある加害者側の若い選手にも、立ち直るチャンスが与えられることを願うばかりです。

その一方、恐らく多くの人々が真摯さを感じたこの選手の対応の後に、日大サイドが出したコメントは信じがたいものでした。

日本大広報部コメント全文(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30837230S8A520C1CC1000/

この後に及んで、監督らの指示を否定して学生側に責任転嫁をする内容。特に度し難いのは下記の部分です。

>監督が違反プレーを指示したという発言はありませんでしたが、(中略)誤解を招いたとすれば、言葉足らずであったと心苦しく思います。

…これを一読して、誠意ある謝罪だと受け取れる人が果たして存在するのでしょうか?

改めて、「誤解を招いた」というのは謝罪の仕方として最低最悪のものだと痛感します。

これは相手側に完全に責任を押し付ける言葉以外の何者でもなく、日大サイドの無責任・不誠実な態度を象徴するものになっています。

さて、今週はこうした大きなニュースが相次ぎ隠れてしまっていますが、実は都政も重大な局面を迎えています。

豊洲市場の観光施設 東京都、整備事業者に「28日までに回答を」
http://s.mxtv.jp/mxnews/kiji.php?date=46512864

暗礁に乗り上げていた豊洲市場「千客万来施設」について、事業者との溝は埋まることなく、ついに都側が「最後通告」を出さざるを得ない事態に追い込まれました。


「知事の動き」5月1日ページより抜粋)

事業者側が決断できない状況は何一つ変わっていませんから、残念ながらこれは計画の破綻にまた一歩近づいたことを意味します。

この事態に追い込まれてしまった最終的な要因は、5月1日に小池知事が突如として行なった「トップ会談」の失敗にあります。

過去記事:
「父の霊に言われて」思いつきでやってきた小池知事の言葉が、誠実に響くはずがない

http://otokitashun.com/blog/daily/17824/

千客万来施設の着工に向けては、都庁職員を始めとする多くの関係者が解決に向けて陰に陽に尽力していました。

俗な言い方をすれば、「お膳立て」はある程度までは整っていたわけです。

この時に知事が誠実な態度で謝罪をしていたら、膠着状態を打開することは十分に可能であったことに、私は確信があります。

ところが上記の記事でも触れている通り、小池知事は「誤解を招いた」という最悪の表現を用いて責任を相手に押し付けたため、事業者側のさらなる怒りを買う結果を招きました。

まだ事業の是非については予断を許さない状況は続くものの、あの対応が明確にターニングポイントになったことを思うと、忸怩たる感情を抑えることはできません。。

いずれにせよ日大サイドの対応については、これで事態が収まることは到底考えられず、明日以降も追及が続いていくことは間違いありませんし、そうなるべきだと思います。

「誤解を招いた」というトップの逃げ口上が、いかに深刻な状況を引き起こすか。

他山の石としながら、都政における重大局面に引き続き向き合って行く所存です。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年5月22日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。