先日は、アメリカ人が無駄に大きな住宅を購入している可能性を指摘させて頂きました。
今回は、アメリカ人が実際に買える住宅の広さをお伝えしましょう。
4月の米中古住宅販売価格の中央値は25.79万ドル(約2,820万円)、新築住宅販売価格の中央値は31.24万ドルでした。アメリカ人世帯の所得中央値が2016年時点で5万9,039ドルであることも踏まえ、平均的な世帯が購入できる住宅価格は30万ドルと考えられます。では30万ドルで買える家とは、どれだけの広さなのでしょうか?GoBankingRatesが住宅情報会社ジローのデータを基に、解明してくれました。気になる結果は、こちら。まずは1平方ft(1平方ft=0.93㎡、0.028坪)当たりの価格ランキングでの上位10州をみてみましょう。
当然ながら、東西海岸沿いの州が並びます。30万ドルで購入できる住宅面積を坪数で換算すると、以下の通り。
1位 ワシントンD.C.→16.3坪
2位 ハワイ→16.5坪
3位 カリフォルニア→28.2坪
4位 マサチューセッツ→35.02坪
5位 コロラド→36.98坪
6位 ワシントン→41.15坪
7位 オレゴン→41.54坪
8位 ロードアイランド→43.19坪
9位 モンタナ→46坪
10位 ニューヨーク→46.29坪
日本での平均的な坪数を超えてくるのは、6位のワシントン州以下となりました。ちなみに、モンタナ州で住宅価格が上昇中なのはエネルギー産業の発展に伴う人口増とされています。
逆に住宅価格ランキング、下位10州はこちら。
30万ドルで購入できる住宅面積を坪数は、以下の通り。
1位 ウエストバージニア→94.06坪
2位 ミシシッピ→92.46坪
3位 アーカンソー→90.27坪
4位 インディアナ→87.51坪
5位 アラバマ→87.2坪
6位 オハイオ→86.84坪
7位 オクラホマ→84.98坪
8位 ケンタッキー→79.7坪
9位 カンザス→79.59坪
10位 ミズーリ→79.03坪
下位10州のうち、インディアナ州やオハイオ州、カンザス州とミズーリ州の中西部が4州、その他は全て南部が占めました。ワシントンD.C.に転勤が決まった場合は、ウエストバージニア州に住むと節約できるに違いありません。
上位10州と下位10州の明確な違いはIT、ヘルスケア、金融など産業基盤が挙げられます。例えばカンザス州のGDPを産業シェア上位別で切り取ると、金融・保険が18%と全米の21%以下、専門サービスも11%とわずかながら全米の12%に届かず。情報が上位に食い込まなかったばかりか、非耐久財が8%を占めていました。対してカリフォルニア州やワシントン州は情報がそれぞれ9%、11%と全米平均の5%を超えています。マサチューセッツ州に至っては金融・保険が24%、専門サービスが17%と全米の12%を大きく上回っていました。南部の州が現状を打破するにはIT、ヘルスケア、金融の産業基盤を支え人口増を促す必要があるものの、出遅れ感は否めません。ウエストバージニア州は中国の国家能源投資集団による投資を通じ地域活性化を目指しますが、果たして吉と出るでしょうか。
(カバー写真:Jon Dawson/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年5月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。