「タクシー業界はどう生き残るか?」のその前に 標準・基準をどうするか

常見 陽平

先日、参議院の経済産業委員会に参考人として呼ばれた。私は「生産性向上を国民に丸投げしてはいけない」という趣旨の意見陳述をした。他の参考人の方は1人がベンチャー振興の話、もう1人がライドシェアの問題点について意見陳述をしていた。

議員からの質問で。なぜか私のところに「Uberが台頭する中、タクシー業界はどう生き残るのか?」という質問がきて。「そもそも、まず、Uberが日本から登場しなかったことを反省するべきだ」というまるで安倍話法みたいな切り返しをしたあと、月次だが、付加価値の向上みたいな話をした。というか、私にその質問するなよという話で、スルーしてもよかったかもなのだが。

ただ、その後もその話がずっと気になっており。「付加価値の向上」なんてことを言ったのだけど、ふと考えたのは、そもそも論でタクシーというのは標準・基準が存在しない、あったとしても徹底されていないのが問題ではないかと思った次第だ。

日常的にタクシーをよく使うのだが、首をかしげることがある。「良いサービスとは何か?」ということだ。突き詰めると、安全かつ快適に目的地までつくことのはずだ。ただ、基本的な品質が保証されていなかったり、あるいはやらなくてもいいことをやることに首をかしげたりする。

道がわからないからタクシーに乗った際に「新人なのでわからない」「このあたりはわからない」と言われるのはまだ、いい。先にわからないと言ってくれた方がいいからだ。

問題は、「よかれ」と思って飛ばすタクシー、明らかにタバコ臭くて不愉快なタクシー(乗ってみないとわからない 最初から禁煙車など明記してほしい)、あるいは飴玉やときには飲み物などを出す過剰なタクシー、黙っていて欲しいのにトークがうざいタクシーなどだ。

まず普通の品質を確保して欲しい。

特に飛ばすタクシーについては閉口することがある。事故になったらどうするのか、と。

もっとも、そうなるからには、客もそれを期待していることもあるわけで。

というわけで、まずは基本的な品質を問い直したいと思う今日このごろ。なんだかね。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2018年5月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。