「児童虐待防止」陳情不採択・先送り…問われる都議会の姿勢

音喜多 駿

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

東京都・目黒区5歳女児の虐待死についての昨日の記事は、反響が大きく多くの方に読んでいただくことができました。

国会議員やこの問題にかねてから取り組んできた有識者の方々も、次々に抜本的な対策を訴える呼びかけを始めています。

そんな中、本日の都議会警察消防委員会および厚生委員会にて、児童虐待防止に取り組むNPOから提出された陳情案件の採決がありました。

児童虐待及び虐待死の根絶に関する陳情

主な内容は私が昨日のブログでも提起した、児童相談所と警察の情報全件共有を含む再発防止策の徹底です。警視庁と福祉保健局にまたがる分野のため、2つの委員会に分割して付託されました。

陳情の内容は至極まっとうなものであり、採択もしくは趣旨採択されるのではないかと思っていました。

ところがすでに上田都議が詳報している通り、警察消防委員会では共産党を除く全会派が不採択

さらに厚生委員会でも、「継続審議」という判断が下されました。継続審議は否決(不採択)でこそないものの、多くの場合このまま廃案とされる事が多く、採択の意思が感じられないネガティブな対応です。

継続審議は世論からの批判を避けるために使われる、議会の常套手段。昨日からの報道がなければ、厚生委員会でもあっさりと否決されていたかもしれません…。

すでに警察→児童相談所への情報全件共有は行われているため、警察消防委員会側に付託された陳情内容は「すでに実施済」として退けたことに一部の理はあるものの(それでも趣旨採択すべきだったと思いますが)、厚生委員会が継続審議という名の先送り廃案をしたことは理解できません。

児童虐待の件数が増え続け、対応が一刻を争う事態の中、この都議会の「事なかれ主義」とも言える対応は世間から厳しい批判を浴びせられることは間違いないでしょう。

当会派は警察消防・厚生の両委員会に議席がありませんので、今回の議論・採択に参加することはできませんでしたが、本会議に上程された際は賛成の立場をとって論陣を張っていきます。

議会の多数派を動かすには、世論の力が重要になります。引き続き本件につきまして、多くのご意見を都議会・都議会議員に届けていただければ幸いです。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年6月7日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。