アメリカに対する日本の外交カードは何だろうか

日米共同記者会見(首相官邸サイトより:編集部)

アメリカのトランプ大統領が武器商人か何かのように見えてならない。

商売上手、交渉上手だということは周知のことだろうが、あまりにも粗野過ぎて長く付き合うのは難しいだろうな、と思わざるを得ない。
そういう大統領を戴いているのだから、どなたが日本の総理になられてもアメリカとの付き合いは難しい。

適当に相手の要求をはぐらかしたいところだが、今の状況では面と向かってノーと言えないのが日本の苦しいところである。

安倍総理がどこまでの申し出をしたのか分からないが、日本側から面と向かってノーと言えないのを承知で、トランプ大統領は安倍総理があれやこれや約束した、と放言しているような印象である。
黙っていると追認したような印象になるから、安倍総理としてはどこかで毅然とした態度を取らざるを得なくなると思っているが、そのタイミングと話の切り出し方が難しい。

日本としては、6月12日の米朝会談を見守るしかない。

米朝会談が首尾よく成功し、わが国にとってもプラスになるのなら、トランプ大統領の押し付け的な要求にもある程度応えてもいいのかも知れないが、多分私たちが諸手を打って歓迎するような結果にはならない。

拉致問題も非核化問題も先送りになり、延々と交渉が続くことになるのではないかと予測している。
いくらトランプ大統領がディールの達人であっても、自分の命や自分の国の存続を懸けてディールを挑んでいる北朝鮮の金正恩委員長を一挙に籠絡することなど出来ないはずだ。

泥沼ではないが、あちらこちらにごつごつした岩が転がっている難路中の難路が目の前に拡がっていることを覚悟しておいた方がよさそうである。

この難路をこれから何年も歩むだけの気力、体力のない方は、ほどほどのところで次の人にバトンタッチされた方がいい。

幸い、北朝鮮を巡って戦端が開かれる危険性は大分遠のいたようである。

それだけでも、わが国にとってプラスになることは間違いない。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年6月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。