2030年度の石炭発電比率26%計画が混乱を生み出している

鈴木 馨祐

先日、党の会議で、エネルギー基本計画の議論がされました。

日本の今後のエネルギーのあり方に関する基本方針を決める重要な文書です。過去二回の議論には出張で出席することができなかったこともあって、主に石炭発電に関して発言しました。

この数年間で金融関係も含めて急速に石炭を取り巻く環境は変わってきています。経済性に優れるということが石炭発電の売りだったわけですが、将来的な世界における制度変更、税制、コストなどを考えると、その優位性はほぼ無く、逆にリスクになってきているといっても過言ではありません。

私はかねがね、正しい規制は正しいマーケットとイノベーションを生み出し、誤った規制や計画は経済に大きなリスクをもたらすと、あちこちで話させていただいています。

まさに石炭をめぐる環境はこの通りとなっていて、政府がエネルギー基本計画で2030年時点で石炭発電の比率を26%としていることが、様々な混乱を生み出している面は否定できません。

国際的なトレンドを見れば、2030年度で26%というのはかなり非現実的な数字だと思われます。実際先日の欧州中央銀行総裁会議でも、石炭関連の融資を各銀行がどのくらいしているかのストレステストを行うような話も出てきていますし、G7から金融安定化理事会(FSB)におろされて形成されたTask Force on Climate related Financial Disclosure(TCFD)での議論などを見れば、石炭発電が経済的にはかなり大きなリスクとして見られているのが世界の潮流であることは明らかです。

にもかかわらず、日本国内では政府がエネルギー基本計画で石炭発電をベースロード電源としてその基軸に位置づけているがゆえに、新電力による石炭発電の新設の計画がこのご時世にいくつも出されるという奇妙な状況となっていました。

まさにこれは将来に向けた計画が適正なものではなかったために、経済や民間企業に大きなリスクを負わせている、という状況です。

将来に責任を負う政治家として、また責任ある与党の立場として、この点については正していかねえばならないとの信念のもとで、今回の議論でもいろいろな発言をさせていただきました。

今後、さらに世界の動きは加速していくと思われますので、気候変動、世界におけるルール作りを主導する視点から、エネルギー源の議論に関して、引き続ききちんとフォローしてまいります。


編集部より:この記事は、自由民主党青年局長、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区)のブログ2018年6月21日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家  鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。