江東区議会は移転延期決議案を出さず、豊洲市場受け入れを了承へ

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

都議会が閉会したこともあり、昨日は豊洲市場移転問題が議論される江東区議会の「清掃港湾・臨海部対策特別委員会」の傍聴に行きました。

というのも、急転直下で話がまとまった賑わい施設(千客万来施設)を巡って、

「まったく話が共有されず、明らかな地元軽視」
「東京都と事業者の一方的な都合のみで進展している」

として、受け入れ自治体の江東区が強く反発。「移転延期を求める決議」を区議会として議決するのではないかと目されていたからです。

地元住民たちの代表者である区議会が移転延期を正式に求めたとなれば、小池知事・東京都も強引に移転を進めるわけにはいかなくなります。

山崎孝明・江東区長も「議会の決議は重い」と口にしており、区議会側の対応に注目が集まっていました。

豊洲の観光施設 延期求める決議撤回 江東区議会

しかし結論から言いますと、江東区議会は矛を収め、移転延期の決議提出は見送られることになりました。

本件が話し合われる特別委員会の直前、副知事が謝罪と今後の対応について詳述した書面をもって区長・正副議長などに訪問。

この書面にはかねてから江東区が強く求めていた「地下鉄8号線の延伸」などについて踏み込んだ表現があり、これをもって江東区・江東区議会は「手打ち」としたようです。


東京都提出「豊洲市場について」資料

前回の特別委員会の様子からすると、「少なくとも小池知事が直接、謝罪に来なければ事は収まらない!」という内容や雰囲気だっただけに、副知事による謝罪と約束で話がまとまったのは、個人的には意外とも感じる結末でした。

委員の中からは、

「信用できない」
「これまでも何度も、同じパターンで騙されてきた」

と発言し、あくまで決議案提出を主張する方もおられましたが、多くの委員は

「ここまで踏み込んだことを評価する」
「しっかりと約束を履行して欲しい」

と述べるに留まり、議長談話を出すという形で決着することになったようです。

政治的駆け引きという点だけから見れば、小池知事・東京都の「完勝」とも言える展開でした。

もちろん決議案を出したとしても、移転延期というのは到底現実的な選択肢ではなく、批判の矛先が江東区側に向く可能性もありました。

しかしそれでも決議案を出していれば、その撤回を求めて少なくとも小池知事自身が江東区議会に足を運ぶ展開はありえたと思います。

まあ、知事の謝罪を引き出したから何だというわけではありませんし、政治の「チキンレース」をガチでやっても仕方ありませんから、江東区議会は「実」を取って大人の対応をされたのだと思います。

こうした知事の強引なやり方がまた一つまかり通ったことは心配ではありますし、そんな知事がした約束が果たして履行されるのかという懸念も率直に言えば残ります。

一方で、地元自治体がGoを出したことにより、また一歩豊洲市場の開設に向けて前進したことも事実。

現在の都議会には市場移転問題を議論する特別委員会は設置されておらず、議論の場が極めて少ないことが残念でなりませんが、引き続きこの移転問題については最後まで注視し、発信を続けていきます。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年6月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。