「何をしても心が満たされない」「いつも他人の目を気にしてしまう」「すぐに落ち込んでしまう」「あがり症」「人前で話すのが怖い」「ときどき不安になる」。このような悩みから解放されれば、内面の魅力から輝けるようになる。ミス・ユニバース・ジャパンも採用している、「セルフイメージ」を高める方法をご存じだろうか。
今回は、『自分に自信をつける最高の方法』(三笠書房)を紹介したい。著者は元教諭で心理カウンセラーの常冨泰弘さん。2014年、ミス・ユニバース・ジャパンで各県代表のファイナリストにセルフイメージアップの講義を担当。2015年よりミス・ユニバース・ジャパン長崎大会でのビューティーキャンプも担当している。
ゆるぎない自信は自分でつくる
――「本当に自信のある状態」とはどのような状態か。また、人は、どんなときに「自信がない」と感じるのか。常冨さんは次のように解説する。
「自信のない人は、自分を尊重できず自分には価値がないと思っています。そのため、自分の判断、行動、表現を尊重できないから、意見をいったり白分で決断をくだしたりすることができないのです。『ありのままの自分には価値がない』と思ってしまうから、何かをしたいと思っても一歩を踏み出せず逃げてしまうのです。」(常冨さん)
「自分は周囲の人より劣っていると思いこんでがんばりすぎてしまったり、ダメな自分を悟られまいと、いい人を演じたりしてしまいます。」(同)
――では、「自信がある人」とはどのような状態をいうのか。行動心理学で考えれば、自信がある人には、自分の判断、行動、表現を尊重する特徴がある。自分の価値を理解しているので行動がスムーズで実行も早い。
「自信がある人は、『そのままの自分で大丈夫』という感覚をもっているので、必要以上にがんばることも、自分を隠すこともせず、ありのままの自分でラクに生きられるのです。自信は『自分を信じる』と書きます。自分の何を信じるかというと、すべてです。自分のすべてを大丈夫だと信じられることです。自分の存在や、考え、気持ち、行動といったものを、そのまま『それでいいのだ』と思えることです。」(常冨さん)
「この『自分は大丈夫だ、これでいいのだ』という思いに、根拠は不要です。よく、根拠のない自信、といいますが、『○○を経験したから自信がある』『○○の資格をもっているから自信がある』という根拠のある自信はもろいものです。土台が崩れれば、一緒にガラガラと崩れてしまう自信だともいえます。」(同)
――常冨さんは、根拠のない自信 は、経験を積み重ねるための下地であり、心の土台の部分に当てはまると解説する。たしかに、「自分は大丈夫」「失敗してもなんとかなる」という確信をもっている人は、いざという時にも強い。
「セルフイメージ」の効果とは
2000年以降、多くの会社で成果主義人事制度が導入された。成果主義による組織活性化が期待されたが、むしろ制度上の矛盾を露呈する結果になった。社員のマインドは疲弊し将来のパスが見えにくく漠然とした不安が蔓延する。その後、社員の内面にアプローチする理論としてEQ( Emotional Intelligence Quotient)が注目された。
当時、私はEQ理論提唱者と共同研究をしており、セミナーや講演、導入する活動にまい進していた。その後、EQブームは収束していったが、新たな理論が台頭してくる。本書で取上げている、「セルフイメージ」は、EQ理論でも解説できる。楽観性やセルフエフィカシーとを高めることでレーニング効果が出やすいことも充分理解できる。
心理学用語やEQの素養などは難解で必ずしも一般性を持つものではないが、本書の、「セルフイメージ」は平易でわかりやすい。世の中には、問題点や解決際を導き出せないメソッドが多い。こういうムダなものに労力やコストをかけるなら、本書を読みながら正直に自分の気持ちに問いかけたほうが、間違いなく効果的である。
尾藤克之
コラムニスト