日経平均は年初水準を回復、調整は終了か

7月18日にドル円は113円台を回復し、年初の水準を回復させた。東京株式市場では日経平均が23000円に接近している。前日のニューヨーク株式市場では、ナスダックが過去最高値を更新。欧州市場ではイタリアの国債が買い進まれている。

これらの動きからは総じてリスク回避の巻き戻しのようにみえるが、相場の地合そのものが良い状況があらためて確認されたものと見ている。

日経平均株価のこれまでの最高値は1989年12月末大納会につけた38915円となる。ここがピークとなり、いわゆるバブル崩壊が始まる。そのバブル崩壊後の安値が、2009年3月10日の7054円となった。38915円から7054円下落の半値戻しが、22984円となる。つまり日経平均で抜けそうで抜けなかったのは23000円というよりも、この半値戻しの水準と言えた。

今年1月に日経平均はこの23000円を抜けて24000円台まで上昇したが、そこでいったんピークアウトしてしまった。1月24日にムニューシン米財務長官はスイスのダボスで開かれている世界経済フォーラムで、明らかに弱いドルは我々にとって良い、と述べた。このあたりをきっかけにドル円は下落し、日経平均も調整局面入りした。

2月5日にダウ平均は一時1597ドル安となり、取引時間中として過去最大の下げ幅となり、引け値も1175ドル安となって引け値の前日比でも過去最大の下げ幅を記録した。米国株式市場では今年に入ってからもキャタピラーやボーイング、スリーエムなどに加えて、FAANGを中心としたハイテク株が買い進まれ、ダウ平均、ナスダックともに過去最高値を更新し続けていた。これはゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていたが、その反動売りが入り、これも日経平均を押し下げる要因となった。

その後、いわゆるトランプリスクが顕在化し、米中の貿易摩擦拡大懸念が生じた。イタリアの政局への懸念などもあって、リスク回避の動きからなかなか日経平均は戻り切れず、23000円が上値の壁となっていた。

これに対してドル円は3月につけた104円台が底となり、じりじりと回復基調となっていた。米中の貿易摩擦拡大懸念はなくなったわけではないものの、それよりも地合の良さが表面化しつつある。いずれ再びトランプリスクが顕在化する恐れはあるものの、ひとまず調整局面はまもなく終了してくる可能性がありそうである。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年7月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。