自宅で観るフジロック 世界一クリーンだったフェスの行方

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右派か左派かでいうと後者だし、フジロック派かサマソニ派かと聞かれるとやはり後者だ。今年もフジロックに行かなかった。いや、苗場でボブ・ディランは十分に魅力的でそのためだけに行こうかと思ったのだが、仕事もあったし。子供がまだ1歳になったばかりで。妻子持ちでこのためだけに家をあけるわけには行かず。

でも、フジロックを「観る」ことはできた。ソフトバンクがスポンサードしたYouTube中継のおかげで。2つのチャンネルがあり。しかも、それぞれ様々なステージ、アーチストを捉えており。ちゃんとクオリティ高く、臨場感のある配信で。配信するアーチストのチョイスも、サカナクションなど誰もが知っている人気バンドも含まれつつも、それ以外は人気アーチストすぎず絶妙なバランスで。まるでフェスでふらりと観たような感じで、ナイスだった。

何度も流れたこのCMも音楽生活あるあるが詰まっていてナイス。まあ、これ、40弱くらいの人の音楽体験だろと思ったり。フジロック2018にやってくる20代の時系列とは違うよね。

「自宅で観るフジロック」って、まさに苗場とゆかりのある松任谷由実が歌った「ロッヂで待つクリスマス」みたいだけど、いいもんですな。

夫婦でゆるりと、茶の間のテレビでAppleTVのYouTubeアプリで観ていたのだが、その中で特に気になったのは、このSTARCRAWLERというバンド。デビュー当時は10代だったそうで。ボーカルが、多くは語らないがルックスもパフォーマンスもぶっ飛んでいて。さすがロック界のカリスマたちが絶賛するバンドだな、と。別に反社会的なことや、公序良俗に反することをしたわけではないのに、「地上波じゃ流せないな」というキワキワのパフォーマンスだった。

その他、InstagramなどでYOSHIKIがフジロックに急遽ゲスト出演することが告知されたり。そのパフォーマンスがYouTubeやInstagramにアップされていたのも今っぽいなと思ったり。

というわけで、ネット経由ではあるけれど、久々にフジロックをリアルタイムで楽しんだという感じ。しかも、ゆるく。ナイスな企画だった。

そのフジロックに関して、ライター・編集者の鈴木梢(あこ)さんのこのツイートがなかなか印象的で。2005年以来、行っていないけれど、そうか初めて見た人の感想というか、今のフジロックはこうなんだ、と。このツイートをRTしたら、「ここ数年、マナーが悪くなっていますよ」と長年のフジロッカーからのタレコミ情報があったり。へえ。以前は「世界一クリーンなフェス」と言われていたのにね。

気になったので、公式サイトを見たら「再び世界一クリーンなフェス目指して」という記述があり。指摘した鈴木さんに対して極端な意見を一般化するのはやめろ的な反論ツイートも飛んでいるけど、いやいや主催者も認めてるじゃん。

近年、ゴミ捨てや場所取り等のマナーが低下しています。 来場者の皆さんのマナーのひとつひとつが、フジロック・フェスティバルの環境を左右します。自然との共生を目指して、来場者の皆さんとともに築き上げてきたフジロック・フェスティバル。来場者の数だけゴミが増えマナーが低下するのではなく、来場者ひとりひとりがマナーを見直しゴミの削減を考える。再び、世界に誇れるクリーンなフェスティバルを一緒に創り上げましょう!

なんでこうなったのだろう。その理由が気になる。馴れ合いでマナーが悪くなったのか、マナーが悪い人が来るようになったのか、その理由は何なのだろう。若い人だらけのサマソニではこの10年くらい、ストレスゼロなんだけど。

フジロックには97年、98年、03年、05年と参戦していて(そういえば、なんで参戦って言うんだろうね、解説を何度か聞いた気がするけれど)。今ほどお金がない20代の頃に頑張って行っていたのだけど。何かこう、フジロックは「遠く」なってしまった。実際、物理的にも遠いし、金銭的にも体力的にも遠い感じがして。さらには心理的に遠いとも言える。何かこう敷居の高さだとか、文句を言ってはいけない雰囲気だとか。何か意見を言うと、「わかっていない」と言われそうな空気だとか。

商業的だとか、非日常感がないとか言われる都市型ロックフェスのサマソニに、むしろロックのうねりだとか、自由奔放さだとか、親しみやすさを感じ。こちらは開始からほぼ毎年、通っているのだけど。

フジロックに何が起きているんだろう。気になる。来年あたり勇気だして行ってみようか。いや、でもやはり「遠い」のだよな。

その距離感を今回のYouTube配信は埋めてくれた。会場の空気感も伝わってきた。ありがとう。

フジロックもサマソニも何を目指しているのだろう。こういうと、フェス文化はみんなでつくる的な説教が聴こえてきそうだな。音楽って、こういうふうに何度か面倒くさくなるのだけど、まあ、やめられない。

私がフジロッカーだった頃の写真。さて、サマソニがせまってきた。今年は前夜祭的なイベント、ソニックマニアのみの参戦だけど、ノエル・ギャラガーの日も、ベックの日も行っちゃおうかなあ・・・。というわけで、久々に音楽談義。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2018年7月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。