政務活動費で、年度末の「広報費用」ばかり増える理由

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

都議会の政務活動費公開 返還率過去最高(NHK)

8月9日に、例年通り都議会の政務活動費が公開されました。

いま現在は都議会議事堂に平日に足を運ばないと見ることはできませんが、本年度からはネット公開がスタートしまして、来月上旬にはついにネットで閲覧できる予定です!

これまで自主的にネット公開してきた身としては、この改革実現は実に感慨深いものがあります…(感涙)。

すでにマスコミ各社によって様々な分析がなされているところですが、今年の傾向として

1.返還額が増えた
2.年度末の駆け込みが大きかった
3.広報紙の発行費用がもっとも多かった

という点が挙げられそうです。

まず1点目については、

・ネット公開される前提になったことで、疑惑を招きかねない支出を各会派が自主的にやめたこと
・都議会改革の一つで、新年会等の「飲食を含む会費」に政務活動費を充てることができなくなったこと

が大きな要因であると言えます。ネットなどの情報公開が進むと政務活動費の返還率が高くなるというのは、都議会に限らず全国的な傾向です。

これまでどれだけ、怪しいことをしていたんだという話ですが…。

私は「返還率が高いこと」は単純に良いことだとは思いません。都民に信託された権限ですからきちんと使って成果を出すか、そうじゃなければ額そのものを減らすべきです。

このまま返還率が高い状況が続くようであれば、月額50万円となっている都議会の政務活動費はさらに減額を検討する余地があるでしょう。

そして2点目、3点目の「年度末の駆け込み利用が多い」「広報誌の発行費用ばかり」というのは、なかなか根深い問題です。

まず後者から説明しますと、本来であれば政務活動費は政策立案のための「調査・研究」にもっとも多く使われるべきだと思われる方が多いと思います。

元の名称が「政策調査費」であったことからも、政務活動費の第一義としては「広報」よりも「政策調査」に重きがあるはずです。

ではなぜ、調査・研究にあたる費用が増えないのか。

これは一言でいうと「運用基準が極めて厳格で、現実的に利用できないほど厳しい・使いづらいから」です。

私も何回か遠方への視察などで政務活動費を使ってみたことがありますが、

・新幹線の細かな時間から宿泊先の詳細まで、スケジュール詳細を事前・事後にすべて提出
・面会や調査については、本当にやってきたという証拠の資料をすべて保管して提出
・視察内容のレポートについてももちろん提出
・私用など、視察に関係ない予定が一つでも入ればアウト(政務活動費使用不可)

といった感じで、かなり行動が制限されますし、事務コストも増大します。

「調査委託」についても、政務活動費で事業者に外部発注して調査レポートを出してもらったことがありましたが、委託先について根掘り葉掘りマスコミから追及され、あらぬ疑いをかけられて記事にされてしまったことがありました(新聞側が誤りを認め、謝罪・訂正済)。

そうなると、「そこまでして政務活動費を使うものなの?」という結論に達してしまいまして、数万円規模の視察や調査研究であればそこは自腹を切って、政務活動費や「広報」や「人件費」などの額面が大きいものにまとめて使おう、という思考になってしまうわけですね。

もちろん「号泣議員」のカラ出張疑惑など、これまで数々の不祥事があったわけですから、視察や調査に厳しいチェックが入るのは仕方のないことです。

一方で厳しすぎれば、上記のような状態になり…と、これは極めて難しい問題です。NHKの記事の中でも

>政務活動費に詳しい日本大学の岩井奉信教授は、「ピョンチャンオリンピックの視察を議員たちは自腹で行ったが、これは理由が説明できれば政務活動費を使ってもおかしくない。政務活動費の問題に神経質になって議会活動が鈍るのは困るので、考えながら使ってほしい」と話しています。

といったコメントがあります。この問題を解決するには、究極的には「政治家・議会に対する信頼度を上げて、使用用途について任せてもらう」しかないのでしょうね。

一朝一夕にいくことではありませんが…。

年度末のかけこみ出費目立つ 都民ファースト、3月だけで約1億円 29年度都議会政活費

もうひとつの「年度末駆け込み」についてですが、これはある面ではそうならざる得ない理由があります。

予算が成立する、もっとも大事な第一定例会が終わるのは3月下旬。その結果を速報的に都民に知らせようとすれば、支出はどうしても3月末に偏ることになります。

とはいえ政務活動費が余るような状況であれば、4月になってからゆっくり広報誌を配ればよいのかもしれませんし、そもそも予算成立にそこまで速報性が求められるのか?という議論はあると思います。

また広報紙代以外に、パソコン等の機器や切手が年度末に大量購入される事例はこれまでにも発生しており、このあたりは詳細に分析しなければなりません(私もネット公開されたら見てみます)。

広報紙は、まだまだ都民に多い「紙しか見ない」人たちに情報を届ける大事なツールですが、一方でそこに費用が偏りすぎれば「選挙目当て、売名行為」という批判が出てくることは避けられません。

誤解を招かずに政務活動費を気持ちよく本来の意義で使えるよう、引き続き議論と検討を進めていきたいと思います。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年8月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。