23区に新設の児相は、都児相のカーボンコピーではいけない

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日は三連休の中日。各種の式典などに出席した後、夕方からは児童福祉の専門家の方と意見交換を行いました。

テーマは「東京23区に新たにできる児童相談所のあり方」について。

これまで「児童相談所」は原則広域自治体(都道府県)管轄とされ、その他には政令指定都市・中核都市のみが設置できると定められていましたが、法律が改正されて東京にある特別区(23区)も独自の児童相談所が開設できるルールとなりました。

この流れを受けて、レベルや進捗状態に差はあるものの、23区中22区(練馬区以外)が独自の児童相談所を設立する意向を表明しています。

そこで懸念されているのが、「せっかく新たな児童相談所ができても、現状の東京都が運営する児童相談所の劣化版カーボンコピーが増えるだけではないか?」という点です。

残念ながら基礎自治体である23区は、児童相談所を運営するノウハウがありません。専門人材もいません。

なので児童相談所を開設するにあたって、職員が研修として都が運営している児童相談所に出向し、ノウハウを持ち帰ってくることになります。その期間もわずか2年程度。

となれば、どうしてもできあがるのは東京都に現在ある児童相談所のミニバージョンとなる可能性が高いわけですね…。

これまで何度も指摘している通り、現行の児童相談所には課題が山積みです。

・圧倒的に専門人材が不足していること、ジョブローテーションでくる一般職員が多いこと
・人数不足により、ソーシャルワーカーの抱えているケース案件が多すぎること
・家庭を「支援」する部門と、「介入(引き離し)」をする部門が分かれていないこと

・警察を始めとする関係機関との情報共有が不十分であること
・子供家庭支援センターとの連携が有効に機能していないこと
・子どもの権利を主張する役割や人材が存在しないこと
・常勤弁護士が配備されていないこと

etc,etc…

まずはこうした現状の児童相談所の課題を洗い直し、新たに作られる少なくとも今ある課題が解消された新しいものでなければなりません。

しかし今は、児童相談所を「まずとにかく作る」ことが優先され、こうした視点を各自治体は持っていないのではないか…というのが、今日お会いした現場の専門家の方々のご意見でした。

あらゆるハコモノやシステムと一緒で、最初に作られてしまったものを後から抜本的に手直しすることは困難です。

であれば、児童相談所を新たに設置する今のタイミングが、これまでにできなかった挑戦をする最大のチャンスとも言えます。

残念ながら地元・北区は児童相談所の開設が非常に立ち遅れているのですが、これも見方を変えれば今から先進的な取組を行う機会なのかもしれません。

今日は専門人材の育成方法や、子どもの権利を守るアドボケイターチームの設立に向けて、いくつか実現ができそうな具体的な提案もいただきました。

来年は統一地方選挙があります。ここで23区に児童相談所の課題解決を掲げるあたらしい議員たちが沢山誕生すれば、新たに設立される児童相談所の方向性を変えることができるはずです。

私たちの政党もこの分野でしっかりとした政策立案を行い、いま22区で進行している流れに良い変化を与えられるよう努力したいと思います。

皆さまからも様々なご提言・ご意見をいただければ幸いです。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年9月23日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。