築地跡地で「営業権」を主張するのは無理筋。小池知事は基本方針の撤回を

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日も来週の決算特別委員会に向けて終日質疑調整だったのですが、お昼の合間に築地市場跡地の様子を見に伺いました。

18日から解体工事が本格化し、工事関係者以外は入れなくなったのですが、一部の市場関係者とその支援者たちが強引に入場し、混乱が続いています。

完全閉鎖の築地市場 移転反対派が強行突破し“営業”

昨日19日も11時半ごろに築地市場正門前に訪れたところ、市場内に入ろうと試みる人たちが集まっていました。

私は自分の責任からも議論からも逃げるつもりはないので、話しかけてきた所謂「移転反対派」の皆さま何名かとお話しをし、IWJの取材(ツイキャス生中継)も受けました。

そこで彼らが口々に主張しているのは、「営業権」という概念です。

市場関係者には、築地で商いを続ける「営業権」がある。これは東京都に奪えるものではなく、市場業者は営業を続けるか、または損失補償を受けることができる…。

ということを、大学教授が理論的支柱となって主張しているわけですが、これにはあまりにも無理がありますし、法解釈として俗説・亜流と言って良いと思います。

この大学教授は「漁業権」を専門とする方で、その流れで営業権の理論を構築しているように見えます。しかしながら漁業と異なり、東京都が許可を出して特定施設内で営業をしていた事業者に、営業権が自然発生すると考えるのは困難です。

さらに東京都は、代替施設として豊洲市場を建設し、そこで営業を新たに許可しているわけですから、築地市場での営業強行を続ける理由はありません。

加えて閉場後も築地市場内で「営業」をしている仲卸事業者は、豊洲市場にもきちんと出店し、豊洲市場での営業を終えたあとに築地市場跡地にわざわざやってきて「営業」をしています

二箇所で営業権を行使するという「二重取り」で、しかも本来はプロの事業者を相手にするはずの「仲卸」が、一般の方を相手に無理やり築地市場跡地で「営業」をしたところで、世間にも法廷にも理解はされないのではないでしょうか。

連日の混乱で、沢山の都庁職員・市場当局幹部が築地市場跡地に動員されており、日常業務や豊洲市場をブラッシュアップするための運営にも支障をきたしています。

これ以上、一部の仲卸事業者が違法行為を続けるのであれば、豊洲市場での営業を停止するなど、毅然とした措置を検討するべきではないでしょうか。

また、「農水省に廃止の申請がされていないので、築地市場は閉場していない!」と主張される移転反対派の方もおります。

中央卸売市場を「廃止」するのであれば、農水省に廃止を申請する必要がありますが、今回は中央卸売市場は築地から豊洲に移転するだけなので、「廃止」の申請はされていません。

しかし当然のことながら、豊洲に移転するための諸手続きはすべて完了しています。

これをもって「廃止の申請がされていないなら、築地市場は閉場していない!」というのは屁理屈とも言うべきもので、こちらも正当な主張と受け止めることはできません。

一方で、築地市場跡地で強行に主張を続ける人たちの気持ちも理解できる部分はあります。

小池知事は「築地を守る、豊洲は残す」の基本方針の中で、「築地に戻るお手伝いをする」「セリなどの市場機能を残す」と約束しています。


参考:
小池知事の「築地を守る」基本方針は変わったのか?変わっていないのか?

こうした約束が事実上放置・反故されている現状では、当事者たちから強い反発が起こることは当然でしょう。

小池知事はこの点については、謝罪撤回をするなり職責を果たすべきだと思いますし、私自身も責任ある身として、引き続きしっかりと問題に向き合い、議会でも提言をしていきたいと思います。

いずれにせよ、「営業権」や「築地市場の存続」などの主張は、今後は法廷で行うべきものでしょう。

昨日は結局、市場内の土地で「営業」ができなかった一行が、場外市場のために貸し出されている中央区の土地で強引に「営業」を行い、さらなる混乱を引き起こしたと聞いています。

けが人が出る危険性があり、さらなる混乱をも招きかねない築地市場跡地及びその周辺での販売・買い物は、速やかに終了されることを重ねてお願いするものです。

先述の基本方針を巡る諸問題については、継続して都議会で追及して参ります。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2018年10月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。