記者が推奨。目標達成のカギは手帳のつかい方にある!

ここに興味深いノート術の本がある。思い通りにいかない日々もポジティブに物事を捉え、自分に関する出来事を「マイニュース」として振り返る手帳術である。この方法を身に付ければ、誰でも楽しみながらスケジュール管理が可能になるだろう。

今回は、『振り返り手帳術』(新泉社)を紹介したい。著者は、ジャーナリストの伊藤精哉さん。時事通信社に入社し、主に経済記者として報道の第一線に一貫して携わってきた。現在は編集局ニュースセンター整理部長の職責にある。

手帳は単なるスケジュール帳ではない

手帳といえば、「スケジュールを管理するもの」と答える人が多いと思い。面会日時や会議の予定・報告書や企画書提出の締切日などは、手帳を使っていれば、おそらく誰でも書き込んでいる。では、スケジュール以外はどうか。

「TODO(タスク)リスト・メモのほかにも、年間目標、ライフログ(生活記録)、日記、家計簿、健康管理なとに使っている人も増えているのではないでしょうか。手帳は今では、単なる仕事の予定管理だけでなく、ブライベートも含めた人生をデザインするツールとの認識が広がってきています。」(伊藤さん)

伊藤さんは、手帳の役割は次の3つにあると定義している。(1)手帳は人生の羅針盤、(2)手帳は行動の司令塔、(3)手帳はマイニュースアーカイブ(保存記録)。

「羅針盤は、磁石の針を使って船舶や航空機の方位や進路を測定する装置のこと。人生の羅針盤とは、自分が進む大きな方向性を指し示すもののたとえです。手帳を活用して、将来のありたい理想像、ビジョンを描き、そこに向かって長期、中期、短期の目標を定めます。未来に向けたページなのです。」(伊藤さん)

「行動の司令塔としての手帳は、設定した目標に対する行動計画を作成、スケジューリングし軌道修正を図りながら実行に移していくもの。自分の行動に関すること、自分の身の回りで起きた出来事、自分が考えたこと、感じたことを『マイニュース』と定義します。アーカイブという英単語は保存記録、保管文書などと訳します。マイニュースアーカイブは、自分に関する記録が保存された手帳だとご理解ください。」(同)

過去を振り返ることで、現在の状況を確認し、本当にやりたいこと、ありたい未来を描き、どんどん実現させていく。これを一つの手帳で完結するという意味のようである。

手帳にちょっとした工夫を加える

伊藤さんは、手帳が日本に上陸したのは幕末の19世紀。福沢諭吉がパリで購入した「西航手帳」を持ち込んだ、1862年だとしている。79年には大蔵省(現財務省)印刷局が、フランスの日記簿を参考に、携帯用の「懐中日記」を発行する。 1ページに、2日分の記入欄があり、便覧も備えているため初の国産手帳と言われている。

「働き方が多様化するなかで、1つの会社に一生を委ねるのではなく、個人一人ひとりが『本当は何がしたいのか』を自問自答しながら生活全般を自己管理する時代に入っているのかもしれせん。手幔は、そのための有力なツールとして、今後ますます再評価されてくるのではないかと感じています。」(伊藤さん)

これからの季節、大型文房具店の手帳フェアが開催される。バリエーションも豊富で、その種類の多さに圧倒される。しかしせっかく手帳をゲットしても使いこなせていなければもったいない。「宝の持ち腐れ」をしないように、ちょっとした工夫を加えてみてはいかがだろうか。本書を読むことでそのようなヒントが見つかるかも知れない。

尾藤克之
コラムニスト

即効!成果が上がる 文章の技術』(明日香出版社)
※10月15日に11冊目となる書籍を上梓しました。