忙しい上司に相談する時のコツはなに?

画像はphoto-ac.comより

相手に話を伝えたからといって、ビジネスの現場では相手が動いてくれなければ意味がない。交渉のシーンでは、「お願いしたいこと」を伝えるだけでは成果とはいえない。相手が動くことで初めて成果といえる。伝わらなければ、価値はない。

今回は、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)を紹介したい。著者の沖本るり子さんは、「5分会議」を活用した、人財育成や、組織活性化の講師・コンサルタントとして活動中。TBS報道番組Nスタで“プレゼンの達人”と紹介されたことがある。

忙しい上司に相談したい

時系列でただの報告にしか聞こえないようなダラダラ長い話や、何が言いたいのかわからない内容では、忙しい人ほどイライラさせる。「結論から」話すことを意識して、最初に「相談内容は一言で言うと何についてなのか」を伝えなければいけない。

お題:忙しい上司に相談をしたい。AとBのどちらが正解?

回答A
「総務部の沖本さんは、もともとこの会社に入社するときは人材開発部として働きたかったそうです。それで、いろいろ学んで、トレーナーの資格をとってきたそうです。沖本さんが辞めたら、責任問題に発展しかねませんし、離職率が上がったら困りますよね?」

回答B
「部長、お時間をいただきありがとうございます。相談内容は、沖本さんの退職の件です。退職理由は、人材開発部で人材育成をしたいということです。私の考えとしては、人材開発部に異動させれば、退職を考え直してもらえると思います。部長ならどうされますか?」

「年末にかけて人材が流動化しやすい時期です。このケースでは、自分なりに迷っていることを提示して、相談内容はあくまでも参考意見として聞くということを相手に知らせる必要があります。部長に判断を委ねて、自分の意見を参考程度として伝える『回答B』が好ましいでしょう。」(沖本さん)

相手を動かすのがビジネスの要点


本書は「伝える」「伝わる」からさらに踏み込み、「伝わった結果、相手が期待以上に動いてくれる」ことをゴールにしている。「値引き交渉をおこない、3%の値引きを期待したが、5%の値引きに成功した」。「部下にアドバイスをしたところ、10日で予定した仕事が3日で終了した」など。相手を成果に導くことはビジネスの要点といえよう。

また、シュミレーションの設定が豊富である。会議を開いて「何か意見はないですか?」と尋ねても、積極的な意見が出されることは稀である。管理職の役割のひとつに、「課題解決」がある。課題を追求するのではなく、将来の課題を設定し解決策を導き出す行動特性になる。これも、自分ごととしてとらえなければ、成果にはつながらない。

非効率な仕事でも事実が積み重なると、「仕事をした気分になる」から不思議なものである。あなたの所属している部署はいかがだろうか。また、あなたの仕事ぶりは?

尾藤克之
コラムニスト

即効!成果が上がる 文章の技術』(明日香出版社)
※10月15日上梓の拙著ですが出版後1週間で重版しました。心より御礼申し上げます。