残念なハロウィン。「日本式」は何かビジョンを持つべき

松田 公太

私は「文化の懸け橋」を人生におけるテーマの一つとしていますが、ハロウィンについても予てから取り上げてきました。

1997年に創業したタリーズでも、その年からレジ横にキャンディーが入ったオレンジのバケツを置き「トリックオアトリートと言ってくれた方にはキャンディープレゼント!」と発信活動を行ってきました(1997年はディズニーランドや川崎のラチッタデッラでハロウィンイベントが始まった年です)。

過去のブログ:
① ハロウィーン2011
② 起業した理由とハロウィン。そして、継続について

インバウンドの増加にも繋がるように「日本式のハロウィン」を広げようとも提言してきましたが、今の日本のハロウィンの象徴として取り上げられる渋谷や六本木での盛り上がり方は、逆にマイナスでしかないと言わざるをえません。

「2018 10 31 TBS NEWS23より」

「2018 10 31 TBS NEWS23より」

そもそもハロウィンは何のイベントなのか(ご参考→https://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-12089533247.html)、どうやって楽しむものなのかを理解せずに、ただ騒いだりインスタを撮ったりするだけでは、目的を持たずにフラフラと街に繰り出す俄かコスプレイヤーと野次馬の集合体でしかありません。
そういう人たちは刺激を求めて意味のないトラブルを起こしたくなるでしょうし、暴徒化する可能性が高いでしょう。

それは日本の良さとは言えませんし、世界に発信したい日本の姿でもありません。

アゴラの新田編集長が記事で渋谷の長谷部区長に指摘されたように、区によって来年は大幅な見直しを決断するべきです。渋谷に関していうと、区長が「こういう渋谷のハロウィンをつくりたい」という明確なVISIONを持たずに、小手先の取り組み(オレンジ色のゴミ袋や簡易トイレ等)をマスコミに取り上げさせ、ただ単に人を多く集めてしまったのが、いま起きている問題を誘発させてしまった要因の一つなのです。

また、渋谷商店街組合・小野寺理事長は「ハロウィンは嫌だ」と昨夜のNEWS23でインタビューに答えていましたが、商店街ではあれだけの人出にも関わらず売り上げが伸びるどころか通常より早く閉店するところが増えているそうです。

これもVISIONの無さが招いた状況だと思います。
ハロウィンがある諸外国では、基本的にどの飲食店でも売り上げが伸びます。手前味噌で恐縮ですが、私がいまやっている店(Eggs ‘n Things)でもハロウィンには売り上げが伸びます。それはハロウィンプロモーションのメニューが人気というだけでなく、オハナ(従業員の総称)が仮装をし、子どもたちを主役にし、一緒になって楽しむ温かい雰囲気を醸し出すことができているからです。
そう、エッグスンシングスのハロウィンは子どもに優しいのです。

上記の記事でも歴史的な背景を説明させて頂いていますが、ハロウィンは子どもたちに楽しんでもらう文化として広げていくべきだからです。

その思いも込めて、私自身も、今年も千人近くの子どもたちにお菓子をふるまい、お化けに扮して一緒に楽しむ夜を過ごしました。こういった活動は近所の子どもたちにも関心を持ち、コミュニティーを活性化することにも繋がると思います。


これが日本式ハロウィンのヒントです。
アメリカの一部地域では、危険が多くてトリックオアトリ―ティングを禁止するところも出てきています。比較的に安心安全な日本では世界に誇れる楽しい日にすることが可能ではないかと私は考えていますが…。

さあ、首長の皆さん、考えてみてくださいね。海外のうわべだけを真似しても良い結果は生まれませんから。


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、前参議院議員の松田公太氏のオフィシャルブログ 2018年11月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。