こんにちは、東京都議会議員(町田市選出) おくざわ高広です。
本日は、予定していましたテーマを一部変更し、「東京大改革とは何だったのか~変わらなきゃ、都民ファーストの会~」を書きます。本投稿にあたっては、書くかどうか本当に悩みました。小池知事の掲げる東京大改革の行く末は大きな岐路を迎えており、今こそ都民ファーストの会が東京大改革の旗を強く振らねばならないと思っています。
そして、私のような政界一年生の声に影響力を持たせるには、都民の皆様の後押しが必要であると考え、考えをオープンにすることといたしました。様々なご意見が寄せられますことを期待しております。賛同も批判も受け止めますことをお約束いたします。
前置きとして
先日、私にとっては衝撃的なニュースが舞い込んできました。それは、小池知事が知事選や都議選などを通じて批判してきた自民党都連に対して陳謝をした、というものです。
※自民都連の怒り収まらず 小池都知事が批判を「陳謝」 (11/9 TOKYO MX)
自民党都連の体質を「ブラックボックス」と批判し、東京大改革の一丁目一番地に「都政の透明化(情報公開)」を訴え当選したわけですから、その批判自体が「行き過ぎた」ものであったというのであれば、選挙でお約束したことは何だったのか、ということになります。
日本の選挙制度は、4年に一度しか投票できない制度、言い換えれば、一度の投票で4年間の信任を与える制度ともいえます。ですから、選挙でお約束したことは何よりも重要なのであって、その方針を転換するのであれば説明責任を果たさなければならないと考えます。
今回のケースで言えば、国が主張する税の偏在是正措置へ対抗するためには、国政与党の自民党との協力は不可欠であり、過去の軋轢を乗り越えるために必要な行動をとったということでしょう。これについては、行政の長としては立派な姿との意見も多く寄せられているところであり、それは否定しません。
ここで大切なのは、東京大改革の旗を降ろしてしまうのか、という点です。今年6月に可決された「受動喫煙防止条例」や10月に可決された「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」など、自民党とその支持基盤との対立を恐れずに意見を戦わせたからこそ可決したものです。知事が強烈に旗を振ったからこそ、前に進めることができた政策は沢山ありますし、まだまだ進めるべき改革は残っています。希望の塾に参加し、東京大改革を進める小池知事に共感した私個人としては、決して東京大改革の旗は降ろしてほしくありません。
※知事選で掲げた政策はこちら
東京大改革宣言 都民が決める都民と進める東京の未来
ここからが本題です
ここで考えなければならないのは、私たち都民ファーストの会は何をすべきなのだろうかという点です。53人の都議の内、25人が政治未経験者、私も含め、いわゆる落下傘候補も多く、個人としてではなく、党の方針(小池知事の姿勢)に共感頂いた多くの方々に選んでいただいたものと理解しています。
だからこそ、自分が何をしたいか、の前に、都議選時に何を期待されたかを見つめ直し、実直に取り組むことが最も大切なことです。
まず、私たちが何を期待されていたのかについて、@niftyニュース編集部が都議選後に実施したアンケートによると、以下の結果が出ています。(2017年07月07日~2017年07月13日/有効回答数:2,581)
【小池百合子都知事や都議会に期待することは?】
1位 「都政の透明化」49.0%
2位 「地震対策」31.0%
3位 「高齢者問題の解消(介護人材の確保など)」30.5%
4位 「築地移転問題の解決」29.3%
5位 「五輪関連予算の適正化」29.1%
6位 「待機児童問題の解消」27.8%
7位 「行政改革の推進(中小企業サポートなど)」23.2%
8位 「受動喫煙対策(屋内での飲食店全面禁煙など)」20.4%
9位 「電柱ゼロ化の推進」16.2%
10位 「労働環境の改善(残業ゼロなど)」13.9%
2位~10位の政策課題については、地震対策や待機児童解消、受動喫煙対策など都民ファーストの会が実績を残している内容も多く、その課題認識は間違ってはいないと考えます。(公約の進捗はこちら)
ただし、「都政の透明化」については、知事選から都議選で批判してきた「ブラックボックス」と対になる概念であり、都民ファーストの会は最重要に掲げる必要のある政策といえます。つまり、どれだけの政策を進めようと、都政の透明化、その前段にある党運営の透明化を図らなければ都民ファーストの会の支持率回復はないものと考えており、党執行部に対して、代表選挙と意思決定プロセスの見直しを求めています。
次に、取り組む方向性やスピード感を考えます。「東京大改革」というからには、東京の暮らしや都民の価値観が大きく転換されることを期待した方々は多かったものと思います。受動喫煙防止条例のように、業界団体の声(しがらみ)が重視されてきた都政から、一人一人の声が届く都政へと転換されること。オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例のように、これまで声をあげることのできなかった方々の権利が保障され、自分らしく生きられる世の中に近づくこと。このような改革メニューがどんどん提案されていく事を期待していたのだと思います。
同じく都議選のデータですが、BUZZ FEED NEWSの記事中の調査などから推察すると、都民ファーストの会は、「無党派層(自民批判層+第三極・改革勢力)」、「自民党改革派」、「民進党改革派」からの支持を受けて誕生しました。
同じくBUZZ FEED NEWSの別の記事では、このような指摘がありました。
「(都民ファーストの会は)確かに“寄せ集めメンバー感”は否めないものの、これまでのルールをゼロベースで考えようというスタンスには共感します。企業では男性社会のルールに女性と若者が立ち向かっていくという動きが起こりつつありますが、都議会でも自民党が作ってきたルールに対して同じ流れが生まれてほしい」
まさしく、この指摘こそが都民ファーストの会が進むべき方向性であると私は考えます。
議員は、誰かの代弁者であるべきというのが私の持論ですが、特に都議会では、会派ごとのスタンス、いわば代弁する対象が違うと感じています。それが支持基盤であり、例えば、都議会自民党であれば業界団体や町会・自治会単位での声が届きやすくなっているようです。
都議会では長年与党であった自民党にとって議会が最適化されているのと同様に、自民党の支持基盤となる方々にも最適化された規制や補助メニューがあることは当然の流れです。これ自体は非難されるものではありませんが、選挙で示された結果をもって、時代に合わせて変えていくべきものです。都議選では、こうした既存の枠組みを変えてほしい、という声を受け、しがらみのない政治を前面に打ち出していた都民ファーストの会が選ばれたものと認識しています。
しかし、残念ながら、現状の都民ファーストの会では業界団体からの要望を重要視する風潮があります。7月に2週間かけて100を越える業界団体からヒアリングを実施し、委員会では、その要望について質疑を行うように指示がありました。先日の第三回定例会では、党内議論をせずにライドシェアを否定するかのような意見書を提出する動きがありました。明後日には2回目となる政治資金パーティが開催されます(議長就任パーティを含めると3回目)。
業界団体や経済団体とのコネクションを活かした自民党の政策、地域に根付いて活動される公明党の政策、連合東京等の労働組合側の意見を重視する旧民主系の政策、どれも大切にすべきものである一方で、都民ファーストの会が彼らと同じ土俵にあがって、票の奪い合いをする姿を誰が望んでいるのでしょうか。
小池知事が開校した「希望の塾」に集まっていたのは、主婦の方や障害のある方、大学生や高齢者、ベンチャー経営者など、これまでの政治の世界では見ることの無かった方々ばかりでした。私は、「政治が変わる」ことを確信し、どんな形でもいいから東京大改革の力になりたいと決意しました。(半年もの間、定職にもつかず都民ファ候補者の応援に走り回っていたことを許してくれた家族には感謝しかありません。)
私にとって、都民ファーストの会とは希望の塾で出会った方々であり、私たちが目を向ける相手は、これまで、政治をあきらめていた、政治に無関心だった、あるいは、声を出しても届かなかった方々であると考えます。
加えて、都民ファーストの会は第一党の責任として、今も政治に期待していない人や政治に関わることを許されない人(若者や外国人など)も含めた、東京で暮らす全ての人の意見に対して、広く門戸を広げていなければならないものと考えます。都民ファーストの会が、自民党とも、公明党とも、民主党とも、共産党とも違う、目に見えにくいけれど確実に存在する声を代弁することが、都議会の活性化と正常化に繋がると信じています。
ここからが結論
平成は、「失われた30年」と揶揄されます。世界の経済が拡大する中で日本だけが伸び悩み、少子高齢化が刻一刻と進む中で、閉塞感だけが漂っています。経済も福祉も教育も、今のままではいけないと誰もが思いながら、変えることができないのはなぜか。それは政治の責任です。当選させていただいてからの一年を通じて、政治が社会から取り残されていることを痛感し、これまで届かなかった声に涙することばかりでした。
「ふるい都議会をあたらしく」に込められた願いは、社会の変化を敏感にとらえ、個人や特定の団体のためではなく、全体の利益を追求できるエコシステムを作ってほしいということであったと認識しています。そのカギになるのが、情報公開であり、そのために、政治の常識に囚われない、新しい人材が都議会に送り出されたのは必然だったのだと思います。
これまで小池知事が主導してきた東京大改革ですが、ハレーションが起きていたのも事実。しかし、この30年で固定化されてきた閉塞感を打破するためには、必要な痛みであり、恐れずに改革を進めなければなりません。小池知事が自民党に陳謝したということは、今後は、全体のバランスを重視しながら進まざるを得ないことを表しています。都政新報の記事に「党運営で知事と異なる判断は原則できない」(都民ファ幹部)とありました。
私は、この見解にNOを突き付けたいと思います。小池知事がバランスを重視せざるをえなくなった今こそ、都民ファーストの会が強力なエンジンとなり、東京大改革を進めなければなりません。
党としての存在意義が問われていることを強く認識して、今後も活動して参ります。引き続きのご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。
奥澤 高広(おくざわ たかひろ)東京都議会議員(町田市選出、都民ファーストの会)
1982年生まれ。栃木県佐野市出身。慶応義塾大学法学部政治学科在学中は野球部に所属。卒業後、三菱地所勤務、衆議院議員公設秘書などを経て、2017年7月、東京都議会議員選挙初当選。公式サイト。