年初来のCEO離職者数は08年以来で最高、#MeToo以外の理由とは

2018年の米成長率は3%超えが視野に入る一方、最高経営責任者(CEO)は前年を上回るペースで交代しています。

再就職支援企業チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが発表した米10月CEO離職者数は前年比41.9%増の149人だった。9月の148人と概して変わらず、10月単月の数字は2002年10月以来で最多に。年初来では21.1%増の1,176人と、2017年通期の1,160人を上回った。それだけでなく、金融危機が直撃した2008年以来での高水準となる。

年初来で2008年で最多のCEO離職者数を記録したとはいえ、高成長を謳歌する現状では情勢は大いに異なる。チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのヴァイス・プレジデント、アンドリュー・チャレンジャー氏は、結果を受け「複数の業種で労働市場の逼迫が進むなか、CEOの引き合いが非常に強い」と指摘。また「離職したCEOの多くが最高(chief~)のつく役職や取締役を続けており、企業運営責任者などの立場を離れたわけではない」と分析した。その他の背景として「2008年と同様、経済の不確実性を見据えた人事異動を進めているのではないか」と予想。さらに#MeTooなどの運動により「社内の透明性向上を狙い、企業文化や道徳的理念に反する指導者を交代させている」との見解も寄せる。

CEOが離職した理由、10月と年初来は以下の通り。

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(作成:My Big Apple NY)

――#MeToo運動は、女優アリッサ・ミラノのツイッターが引き金と定義すれば、2017年10月となります。それ以前の2016年にスキャンダルで離職したCEOの数はというと、単月ではほぼ変わらなかった一方で、年初来では2018年が2年前の3倍近くに及びました。離職したCEO全体の割合でも、2016年は0.6%のところ、2018年は1.4%へ上昇しています。半導体大手やメディア大手など、今年はセクハラ問題で数々のCEOが表舞台を去りました。2019年には企業統治が厳格化され、スキャンダルを理由とした離職者が減少すると期待したいところです。

女性CEOに視点を移すと、S&P500構成企業では24人、全体の4.8%(2018年8月時点)に過ぎません。その他、取締役など女性に占める割合は、カタリストによれば以下の通り。

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(作成:My Big Apple NY)

2018年時点でも、女性にとって出世の道は極めて険しい。これが能力差以外の理由によるものであれば、時代とともに変化してくることでしょう。

(カバー写真:erin m/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年11月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。