接客は「笑顔が大切」という話とグルメサイトの半端ない話

写真は七條さん。

お客さまの「イラッ」「モヤッ」をなくすこと。それが、接客の基本中のキホンでである。それには、接客のOKとNGのちがいを理解しなくてはいけない。やっているつもりが、できていない仕事の要点とはなにか。今回は、『これだけできれば大丈夫!すぐ使える! 接客1年生お客さまに信頼される50のコツ』(ダイヤモンド社)を紹介したい。

著者は、七條千恵美さん。日本航空にCAとして入社。乗客から評価の高いCAに贈られる「Dream Skyward賞」、さらに、影響力のあるCAのみが選ばれる「Dream Skyward優秀賞」を受賞。主な著書として『接客の一流、二流、三流』(アスカビジネス)がある。一流の接客者になるための心構え、対応力などを紹介し話題になったベストセラーである。

接客に関する仕事をしていなくても

「接客には笑顔が大切」ということは誰でも知っている。しかし、問題は「それがどれほど大切か」ということを多くの人が知らなすぎることだと、七條さんは解説する。

「接客のときに笑顔が添えられているのか、しらけたような真顔なのかで印象は大きく変わります。真顔ならまだしも、仏頂面や眉間にシワの入った嫌そうな表情だったらどうでしようか?『なんでこんなに嫌そうな顔をしているの?』『感じ悪いなあ』。お客さまのこのような小さなモヤモヤが積もっていくと、大きなクレームに繋がります。状況によっては一発でクレームになることもあり得ます。」(七條さん)

「それくらい、お客さまはよく見ているのです。見ているのはスタッフの表情ではありますが、本当に見ているのはここです。それは、スタッフの表情で『自分が大切にされているのかどうか』ということを瞬時に、無意識に確認しているのです。」(同)

これは筆者の体験談になる。あるホテルの有名店で同窓会をしたとき、ファーストドリンクオーダーの際に、友人A氏は「オーダーチェンジ」をした。その際、スタッフはあからさまに「嫌な顔」をした。さらには「舌打ち」まで披露したのである。

12月のクリスマスに近い時期。店内は満席でスタッフも忙しそうだ。スタッフの状況がわからなくもないが「嫌な顔」「舌打ち」はダブルパンチだった。いまでも、有名店で人気があるようだが、その後そのお店には行っていない。ある有名寿司屋での1コマ。

「笑顔は、言葉にせずとも『あなたを大切に想っています』『歓迎しています』『ご利用を感謝しています』というメッセージを伝えることができるものです。ゆえに、表情が『真顔』『仏頂面』『目も合わせない』というのは、その逆のメッセージを伝えているということと同じなのです。クレームになってから『そんなつもりはなかったのに』といったところでもう遅いのです。」(七條さん)

グルメサイトの半端ない話

先日、接待のためグルメサイトの予約システムを利用した。システム上では予約が成立していたにも関わらず、「予約が成立していない」という事態が発生した。店舗名は伏せるが、都心のハイクラスホテルにあるお店だったので少々困惑した。幸いにも、ホテル内にある他店の予約がとれたので事なきを得たが、グルメサイトの対応は大変残念なものであった。

弊社までお問い合わせをいただき恐縮ではございますが、この度のご予約に関して何かございます場合には、店舗へ直接ご連絡をいただけますよう、何卒お願い申し上げます。

システムを提供している会社としての責任は無いという主張らしい。昨今では飲食店などの予約キャンセルが大きな問題になっている。グルメサイトでは、お店側にネット予約の直前キャンセル予防対策を紹介しているが、利用者保護はしないようである。

利用者とお店との間で飲食の予約が成立するとはどういうことか。まず、店は予約の日時に、人数分の指定の飲食を提供し、利用者は来店して飲食代金を支払うという内容の契約が成立する。キャンセルポリシーに該当しない予約キャンセルは、「債務不履行」になるため、店は利用者に対して「損害賠償請求」ができる。

「グルメサイト」は、次の2項目について明記をお願いしたい。ネット上で予約が成立しても無効とされるなら、利用者も新たな方策を考えなくてはいけないからである。
1.ネット上で予約が成立しても、それは何ら効力がないこと
2.「グルメサイト」として、その責任を一切負わないこと

ビジネスをしていると、少なからずトラブルに巻き込まれることがあるが、そんな時ほど「笑顔」が大切である。元JALのカリスマ教官が、お客さまに信頼されリピーターが増える接客の基本と実践でのコツをやさしく解説する1冊。新入社員必読ではないかと思う。

尾藤克之
コラムニスト

さて、拙著『即効!成果が上がる 文章の技術』(明日香出版社)は出版後2週間で3刷となりました。御礼を申し上げるとともに、引き続きのご指導を宜しくお願い申し上げます。