国による税収奪に断固反対!①現状を振り返る編

奥澤 高広

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出) おくざわ高広です。

本日は、国による税の偏在是正措置に関するお話です。そもそも税の偏在是正って何ですか?という方も多いと思いますので、東京都財務局の資料をもとにざっと振り返ります。

偏在是正措置とは、東京都や大阪府などの大都市が得ている法人税収入について、国がその一部を吸い上げ、財政状況の苦しい自治体に再分配するもの
☞東京都は、過去10年間累計で2兆2000億円、30年間で約6兆円もの財源を奪われてきた

国は、平成20年度以降、地⽅⾃治体間に⽣じる地⽅税の偏在を是正するという名⽬で税制改正を繰り返してきた。
☞東京都は、行政サービスの受益に応じて税を負担するという地方税の大原則をゆがめるものとして断固反対。

来年10月の消費税10%への引き上げ以降は、都の減収額は年間約5,000億円にもなると見込まれており、更なる措置も検討されている。

国の不合理な措置に対する東京都の主張

これに対し、東京都では『地方法人課税の「偏在是正措置」に関する東京都の見解』を発表し、税の偏在是正措置に「反対」の姿勢を明確にしており、小池都知事を先頭に、国会議員への要望活動や全国知事会での意見表明など、あらゆる機会を捉えて「反対」を訴えています。東京都の見解について、要旨は以下の通りです。

1.地方法人課税における「偏在是正措置」は決着済み
平成 28 年度税制改正大綱では、消費税率10%段階における地方税制のあり方が具体的に決定されており、平成20年、当時の石原都知事が暫定措置として受け入れた偏在是正の議論は決着したとの見解。

2.東京からの税源移転は日本の成長にプラスにならない

日本の持続的な発展のためには、東京が国際的な都市間競争を勝ち抜くことが不可欠。そのためには、「羽田空港の機能強化」や「外かく環状道路の整備」、「インバウンドを呼び込む環境整備」などのインフラ整備が必要。その経済波及効果は、東京だけでなく地方の各都市へ及ぶ。さらに、国際金融都市構想の推進や都市再生の取組により、日本のGDPを大幅に引き上げる。その活力を削ぐような税制度の見直しは、日本の成長にとってマイナス。

3.目指すべきは都市と地方の「共存共栄」

東京は、国際都市としてのプレゼンスをより一層高め、地方と世界との結節点となり、世界からヒト・カネを呼び込み、日本経済全体のパイを拡大していく役割を担う。地方は、東京を世界との玄関口として活用し、また東京の大消費地としての購買力に着目し、各々の強みを発揮した地方創生を図る。東京都地方が、より多くの付加価値を生み出すことが日本全体の持続的な発展につながる。

4.「偏在是正措置」では、根本的解決につながらない

この30年間、一部の都府県から巨額の財源を再配分し続けたにもかかわらず、地方における財源不足や地方経済の活性化などについて改善が見られない。偏在是正措置は、地方税を国税化し、地方に薄く配分するという「対症療法的」なことではなく、本来あるべき地方税体系の構築に向けて、正面から取り組むべき。

5.地方分権の実現に向けた地方税財政制度の抜本的な改革を行うべき

内閣府によれば、「地方分権」とは、「住民に身近な行政は、できる限り地方公共団体が担い、その自主性を発揮するとともに、地域住民が地方行政に参画し、協働していくこと」とされており、その実現には、国から地方への権限と財源の移譲が不可欠。しかし、この10年間、税源移譲は行われていない。地方が自立して行財政運営を行う「地方分権」を実現するため、抜本的な見直しに本腰を入れて取り組むべき。

最近の動きでは、
小池都知事と大阪府の松井府知事が初会談。税の偏在是正措置への反対を確認。(2018/11/18産経新聞)

公明党の山口なつお代表から小池都知事を擁護。(2018/11/13毎日新聞)

「税の偏在」小池百合子知事の主張、知事会提案に盛り込まれず(2018/11/9産経新聞)

小池知事、自民都連に批判を陳謝 税制改正反対へ連携呼びかけ(2018/11/5産経デジタルIZA)

といった状況であり、各所で議論が巻き起こっています。なお、前回の私のブログにおいて、「小池都知事の行動(偏在是正措置への反対行動)そのものを否定するのか」というご意見をいただきましたが、私も偏在是正措置には反対です

一方で、都議会議員である私には何ができるのかを考え、実行しなければなりません。地方組織や国会議員との繋がりがあるのであれば、ロビー活動を展開することができます。すでに、自民党や公明党では東京選出の国会議員に対し要請活動を展開しており、先日はやながせ都議の先導で、日本維新の会片山代表と小池都知事の会談が実現したとの話もありました。

都民ファーストの会には、残念ながら他党のような国との太いパイプはありません。しかし、それを嘆く必要はなく、しがらみが無いからこそ訴えることのできる独自の主張を展開する必要があります。

私は、地方の出身でありますので、本音を言えば「東京都ってお金持ちなんだから、少しは地方に分けてよ」という意見にも共感するところがあります。頭では「東京から地方に過剰に再分配することは活力を削ぐことになる」と分かっていても、心では嫉妬やうらやましさが出てしまうといったらいいでしょうか。その心情も理解した上で、地方の皆さんの共感を得られる姿勢を打ち出していく必要があります。

ここからが本題なのですが、次に持ち越したいと思います。奥澤のブログ、面白いけど長いよ…というご指摘もありましたので、小分けにして書くようにいたします。次回「国による税収奪に断固反対!~私にできること編」をお楽しみに~。


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、都民ファーストの会)のブログ2018年11月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログ『「聴く」から始まる「東京大改革」』をご覧ください。