マイホーム購入はこれから益々危険になる

内藤 忍

言論プラットフォーム「アゴラ」に、住宅ローンの延滞率について書いている記事を見つけました。

それによれば、住宅ローンの延滞率は全体の貸し付けに対して0.4%程度で、貸付している銀行から見たデフォルト率(回収不能率)は0.2%位だということです。

しかし、記事でも指摘されているように、借り手と金融機関では延滞に対する見方は違います。

金融機関は債権がどこまで回収できるかを考えます。しかし、借り手はたとえ、支払い不能になってデフォルトにならないとしても、収入の低下や失業などによって、返済負担が高まることもあります。返済しているからと言って、順調にに住宅ローンを返済しているとは限らないのです。返済負担は、自分自身の稼ぎ力にかかってくるのです。

そんな住宅ローンに比べ、投資用の不動産担保ローンのリスクはどう考えたら良いでしょうか。

投資対象の物件によって変わりますが、賃貸需要のあるエリアに耐久性の高いRC(鉄筋コンクリート造)の物件を所有すれば、長期的には自分の仕事の収益性よりも安定しているのではないかと思います。住宅ローンは自分が働けなくなると返済できなくなりますが、投資用のローンは物件が収益を生み続ける限り返済には問題がおきません。

不動産はケガをしたり病気になったりしませんから、不稼働になるリスクが小さく、家賃収入の方が収益として確実だと言えるのです。

もちろん、どんな不動産でも良いわけではありません。物件選択が極めて重要ですが、それほど難しい話ではありません。「99%成功する不動産投資」をすれば良いだけだからです。

マイホームを買ったと聞くと「おめでとう」と言うのに、不動産投資を始めたと聞くと「大丈夫」と言われてしまう。リスクを考えれば、このリアクションは間違えています。マイホームのための住宅ローンは、自分の仕事で、35年ローンの返済をしかなければならない、大きなリスクなのです。

終身雇用や年功序列が無くなり、環境変化による企業経営の不安定性が高まれば、さらに住宅ローンのリスクは高くなることが予想されます。マイホーム購入は、これから大きくなるリスクに自ら飛び込んでいく覚悟が無ければ、やってはいけないことなのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年11月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。