訪日客の増加が続いている。わが国は公共交通網が整備され、なかでも高速の新幹線網は世界的に有名である。訪日観光客専用に、JR各社は協力して全国乗り放題パス(ジャパン・レイル・パス)を発行し、これ以外に各社区域内限定のパスも発行されている。JR東日本の直近第2四半期決算説明会資料によると、訪日客向けパスの発行総額は2017年度実績が130億円で、18年度は155億円を計画しているそうだ。
それでは訪日客は来日前にJRの情報をどのように入手するのだろうか。
GoogleのUSAサイトで「Japan rail」を検索すると冒頭に「Japan Rail Pass」が出る。それをクリックして表示されるのは日本語サイトだ。サイトのトップには表示言語を切り替えるバナーがあるが、「言語選択」と日本語で表示されているので、日本語がわからない閲覧者は英語に切り替えられない。
パソコンの位置情報を検出して日本語表示をしているのではないかとも思ったが、ジャパン・レイル・パスは訪日客専用だから、日本語表示は日本国内で検索する訪日客の期待にも反する。
JR東日本の英語サイトにも問題がある。日本語サイトでは最上部左手から「えきねっと」の空席検索が利用できる。英語に切り替えると、これが消えてしまう。代わりに右手に「Search for Fares」とあるのでクリックすると、路線(Line)、出発駅(Departs)、到着駅(Arrives)を選択して検索できる。しかも、Lineの選択肢は「東北新幹線 はやぶさ」と「東北新幹線 はやて」というように列車種別ごとになっている。これでは、JR東日本の路線によほど詳しい人でなければ正しい情報は入手できない。その上、新幹線や特急が停車しない普通の駅についての検索もできない。
JRサイトには「おもてなし精神」が欠如している。異国に旅行する際には事前に情報を得ようとネット検索するのが当たり前だが、JRサイトは訪日をあきらめるように仕向けているとしか思えない。
東京オリンピック・パラリンピックに続き、大阪での万国博覧会の開催も決まった。JRサイトを大至急改修しないと世界に恥をさらす。