「捨てる勇気」が日本一のガトーショコラ専門店を作った

「余計なことはやめなさい!」(氏家健治著)をオトバンクの上田さんに献本いただき、早速読んでみました。

本の舞台となっているケンズカフェ東京というお店は、以前はピザやパスタを出すカジュアルなイタリアンのお店だったそうです。

ランチとディナーの営業で、休みなく働いて、それでも赤字続きだったお店。それを、思い切って夜は宴会だけにし、次にランチを廃止し、さらには夜の営業まで止めて、お土産に出して好評だったガトーショコラ販売だけに特化していきました。

そして、ガトーショコラの価格を、最初は500gで1300円だったのを、量を半分にして1500円にし、さらにどんどん値上げ。最終的には1本3000円という高価格で店頭販売しています。

新宿御苑のありふれたイタリアンが、高級ガトーショコラの専門店に生まれ変わりました。

ケンズカフェFacebookより:編集部

そして、氏家さんは、スタッフに任せることで、ガトーショコラの製造からも手を引いて、マーケティング活動に集中しているそうです。仕事に余裕ができ、優秀な社員も集まり、売上も上がる。

「捨てる勇気」によって、ビジネスを成功に導いたのです。

この店の経営の変遷には、多くのヒントが隠されています。

「パレードの法則」をご存知でしょうか。例えば、8割の仕事で2割の収益、2割の仕事で8割の収益になっている。そんな経験則を法則にしたものです。2割の収益しか生まない8割の仕事は捨てる。それができれば、生産性は劇的に向上するのです。

自営業者で各地を飛び回り「忙しい自慢」している人がいますが、収益が見合っていなければ、それは自らの生産性が低いことを告白しているようなものです。理想は、何も仕事をしないのに、勝手に収益が上がってくる「仕組み」です。

しかし、低収益であっても売り上げの立っている仕事をやめるのは、自営業者にとっては勇気の要る判断です。それをとことんやりきっているところに、この店の強さがあります。

ただし、このビジネスモデルにはリスクもあります。ガトーショコラに特化しているという事は、効率的でもありますが、単品経営になってしまうからです。そのリスクは、オーナーの氏家さんが商品のクオリティを高め、改善を続けていくことによって、ブランドイメージを維持向上させて回避していくしかありません。

自分でビジネスを立ち上げたものの、忙しいばかりで、実は思った通りに収益が上がっていない。あるいは、会社で仕事をしていて、忙しいのになぜか成果が上がらない。そんなビジネスパーソンに一読をお勧めします。

<参考図書>
「余計なことはやめなさい!」 氏家健治著

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年12月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。