国民の理解広まらぬまま国会会期末へ

石破  茂 です。

去る3日、元愛知県議会議長 元自民党愛知県連会長 倉知俊彦先生が逝去されました。享年87。

昨晩のお通夜に参列し、拙い弔辞を述べてまいりました。10年近くにわたって公私ともに本当にお世話様になり、悲しくて残念でなりません。真に立派な方、という存在がこの世にはあるのだ、と心から思える方でした。今も喪失感で一杯で、かけがえのない方を喪った悲しみは今後日が経つにつれて強まるように思います。

今月の私のパーティに出席されることを楽しみに、枕元に案内状をおいておられたと聞き、何とも言えない有り難くも悲しくて残念な思いが致しました。御霊の安らかならんことを切に希います。

先月には、これも地元で大変にお世話になった元鳥取県会議員(倉吉市選出)杉根修先生が逝去され、先日弔問に行って参りました。革新系でありながら私をとても応援してくださり、ご自宅の応接間や書斎には私のポスターが貼ってあり、入院加療中も私のことをずっと気にかけておられたとご家族から伺いました。

そのような方々の思いに十分にお応えできないまま今日に至っていることを本当に申し訳なく思うとともに、逆境や苦境に挫けてはならない、と思いを新たにしております。

国会も会期延長することなく、会期を終えようとしています。多くの皆様よりご指摘、ご叱正を頂いている通り、法案審議や成立の過程において国民の理解が十分に深まっておらず、一体民主主義とは何なのかという思いが広がっていることに、与党の一員として努力不足を痛感しております。9月の総裁選挙において、党員の45%ものご支持を頂いたことの意義を十分に反映できていないとすれば、偏に私の責任です。

小選挙区制導入に向けた議論の際、「少数意見が反映されない」「党本部や官邸の意向を気にする議員が増えてしまう」などとの反対意見が強力に展開され、小選挙区制推進派の私は「多数派が少数意見を反映しなければ次の選挙で手痛い報いを受けるのだから、反映しないなどということはありえない」「議員は有権者に対してのみ責任を負うのであり、党本部や官邸に意見するのは当然の責務である」などと述べたものですが、現実は必ずしもそうならなかったのかもしれません。

先日、竹下亘前総務会長が盛岡市の講演で述べたとおり、自民党員の中でも半数近い非支持層があり、野党支持層や無党派層を入れれば大変危機的な状況のはずなのですが、ただでさえ弱い野党がバラバラで潰しあっている限り、自民党内に危機感も緊張感も生まれようがありません。

国民の間に無力感や無関心、諦め感がじわじわと広がっているとすれば、そのことに慄然とするような恐怖を感じます。与党の中で果たすべき己の責務を思い起こし、自らを鼓舞し、さらに精進努力していかなくてはなりません。

今週の水月会勉強会では、日本の防災政策の第一人者である河田恵昭 元関西大学教授・京都大学名誉教授の「防災省を創設して国難に備える」と題する、歯に衣着せぬ講演を拝聴しました。

「日本水没」(朝日新書 2016年)など一連の著作からは多くの示唆を受けています。

週末は、8日土曜日は年内の諸講演や年末の訪中に向けた準備に充て、9日日曜日は香川県高松市で講演する予定です。
寒さ厳しき折、皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。


編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2018年12月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。