⾷品のお届けをきっかけにつながりをつくり、⾒守りながら、⾷品以外の様々な⽀援につないでいく「こども宅食」。7団体で力を合わせて運営を始めてから、1年が経ちました。
この度、そのノウハウを活かして、全国の親子の元に「こども宅食」を届けるために「⼀般社団法⼈こども宅⾷応援団」を設立しました。
こども宅食応援団の理事メンバーが集まり、「こども宅食応援団で実現したいこと」というお題で座談会を行いました。
「真似したい!」と思える事業へ
ーーこども宅食応援団で実現したいことはなんですか?
河合:文京区でしっかりとしたモデルを作って、いろいろな地域に真似されるようにしていきたいな、と思っています。
もともと、文京区の「こども宅食」にお誘いいただいた時から、全国で展開していきたいと思っていたので、様々な地域に横展開したいんですよね。
河合:最近、行政では若い市長も増えています。その中で「一番最初に素晴らしい事業をやって、モデルをつくりたい!」という気持ちが強い市長が増えているように感じています。
その結果、同じことをやると二番煎じだから、他の市長はやらないといったことが起きている印象があります。そうすると、全国に良いものが広がっていかなくなっちゃいますよね。
河合:「こども宅食」は様々な地域で、積極的に真似されるような仕掛けができるといいですよね。それをみんなで一緒に考えていければと思ってます。
本業を活かすことで、企業の社会参加のハードルを下げる
藤沢:僕はですね、こども宅食応援団で実現したいことが、3つありまして。
1つ目は、地域に合わせたモデルを展開することで、それぞれの地域の課題を知ることです。
「子どもの貧困」という言葉が広がっていますが、都市部と地方では、現状が全然違うと思うんですよね。
こども宅食が全国展開するにあたって、それぞれの地域の課題を見つけることで、子どもの貧困対策が新たな局面を迎えるのではないかと期待しています。
藤沢:2つ目は、RCFのミッションでもあるのですが、企業の巻き込みですね。
こども宅食では、食品や機会を提供するという形で支援できるので、企業としては参加しやすかったと思うんですね。
本業を生かしながら社会に関われることが、企業の参加のハードルを下げていると思うんですよ。
こども宅食を全国に広げることで、多くの企業に社会参加のモデルを見せられると感じています。
藤沢:3つ目は政策ですね。官僚を中心とした政策を作る側と、現場を作る側が乖離していることが、現在の政策づくりの課題なんです。
現場に携わりながら、それを政策に落としていくのが、本来の政策づくりの在り方なんですよ。このチームはどちらもできるというのが、強いなと思っているんです。
官僚が現場を見ずに政策をつくる事態は避けたいですし、NPO側ももっと政策づくりに関わらないといけない。
この事業を通じて、現場と政策の両輪をやっていきたいんです。
それぞれの地域で、子育て家庭が生きやすい未来を
渡辺:わたしは「こども宅食応援団」って名前がすごく好きですね。
渡辺:日本では、子どもや子育て家庭が大切にされていない、と感じています。子育ては大変なことも多いし、みんなで応援していかなきゃいけないと思っているんですよね。
「こども宅食」が全国に広がることで「みんなで子どもを大切にしようね」という1つのシンボルになればいいな、と思います。
渡辺:保育園や児童相談所を作らないで、という声があがること自体が悲しいことだと思うので、「子どもや子育て家庭が困っていたら助けよう」というメッセージを伝えていきたいです。
多くの人がこども宅食応援団に関わることで、その地域ごとに子どもやご家庭が生きやすくなるといいな、って思うんですよね。
「あなたのそばにいる」そんなメッセージを届けたい
駒崎:僕はココネットさんの車に乗って、配送に行けたことが一番心に残っています。あの経験ができたのは、本当によかったな、と思っていて。
駒崎:直接お母さんと話をする中で、ご家庭の状況がいろいろと見えてくるんです。知識として知っていたとしても、実際に関わると様々なものが見えるようになります。
「こども宅食」が常日頃から、「僕たちはあなたのそばにいるよ」というメッセージをご家庭にお届けできたらと思います。
文京区で培ったノウハウや想いを、少しでも多くの人に広げて、ご家庭が危機的な状況に陥ることを予防していきたいんです。
地域ごとの課題を知るツールに
鴨崎:こども宅食でアンケート調査を実施することで、こども宅食の事業の評価ができるのは、ものすごく価値があることだと思っています。
アンケートにもびっちりとコメントが書き込まれていて、筆跡から伝わってくる思いもあります。中には、本当に困っているご家庭もあります。
鴨崎:経済的に厳しい状況は、地域ごとに違うと思うのですが、その実態が行政も含めて明らかになっていないというのが、日本の大きな課題だと感じています。
全国で同様の取り組みを進める中で、こども宅食が少しでも、その解決に関われるといいですね。
事業を運営しながら、評価を行い、改善を重ねる中で成果を見える化する。そして、社会にわかりやすく伝えながら、この事業の意義と効果を拡げていけるようにしたいです。
(座談会はここまで)
こども宅食が全国展開に挑戦するにあたり、11月末から、ふるさと納税を使ったクラウドファンディングをスタートしました。
文京区で培ったノウハウを全国に広げていけるよう、ぜひ応援と拡散をお願いします!
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2018年12月11日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。