米11月小売売上高は予想以上、年末商戦が追い風に

米11月小売売上高は前月比0.2%増と、市場予想の0.1%増を上回った。前月の1.1%増(0.8%増から上方修正)に及ばなかったとはいえ、2ヵ月連続で増加している。

自動車を除いた場合は0.2%増と、市場予想と一致した。前月の1.0%増(0.7%増から上方修正)に続き増加している。小売売上高が前月から伸びが減速した背景はガソリン価格の下落にあり、前月比で13%も下落したため小売売上高を押し下げていた。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は0.9%増と、市場予想の0.4%増を上回っただけでなく、1年ぶりの力強い伸びを果たした。前月も上方修正(0.3%増→0.7%増)と、3ヵ月連続で増加し、個人消費は年末にかけ成長を押し上げる見通しだ。

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作成:My Big Apple NY

内訳をみると、主要13カテゴリー中9種で増加し、10月の11カテゴリーを下回った。今回、特に目覚ましい増加を遂げたのは無店舗で、年末商戦のスタートに感謝祭からサイバーマンデーまで、オンライン売上高が過去最高だったことが思い出される。そのほか、電気製品家具スポーツ用品などギフトの対象となる商品、高額ながら年末商戦のセールが期待される商品で増加が顕著だった。ガソリン・スタンドが大幅に落ち込んだほか、平年を下回る気温や積雪の影響で外食建築・庭園服飾も弱かった。項目別の詳細は、以下の通り。

(プラス項目)
・無店舗(オンライン含む)→2.3%増>前月は0.8%増、6ヵ月平均は1.2%増
・電気製品→1.4%増>前月1.7%増、6ヵ月平均は0.5%増
・家具→1.2%増>前月は0.5%減、6ヵ月平均は0.2%増
・ヘルスケア→0.9%増>前月は0.1%減、6ヵ月平均は0.2%増

・スポーツ用品/書籍/趣味→0.4%増<前月は1.1%増、6ヵ月平均は0.9%減
・一般小売→0.4%増<前月は0.8%増、6ヵ月平均は0.3%増
(*百貨店は0.4%増<前月は1.2%増、6ヵ月平均は0.2%減)
・雑貨→0.4%増<前月は2.2%増、6ヵ月平均は0%
・食品/飲料→0.4%増>前月は2.2%増、6ヵ月平均は0.2%増
・自動車/部品→0.2%増>前月は1.5%増、6ヵ月平均は0.2%増

(マイナス項目)
・服飾→0.2%減<前月は1.3%増、6ヵ月平均は0.1%減
・建築材/庭園→0.3%減<前月は1.5%増、6ヵ月平均は0.4%増
・外食→0.5%減<前月は0.6%増、6ヵ月平均は0.2%増
・ガソリン・スタンド→2.3%増>前月は3.2%増、6ヵ月平均は0.4%増

――米11月小売売上高はヘッドラインこそ消費減速の印象が強いものの、蓋を開けてみればガソリン価格の押し下げが大きく、GDPに反映されるコントロール小売売上高は前月が上方修正されただけでなく、今月は1年ぶりの力強さを示しました。言うまでもなく、無店舗に象徴されるように年末商戦の売上増が寄与した格好です。少なくとも家計のバランスシートも借り入れ依存度は過去と比較して憂慮すべき水準ではなく、家計発の景気後退のリスクは現時点で小さいと言えるでしょう。

(カバー写真:Gene Han/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年12月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。