小水力発電からの水素製造 〜 北海道白糠町

二酸化炭素を発生させずに水素をつくる、正にCO2フリー水素の実証実験が全国で行われています。以前に視察に訪れたことのある北海道鹿追町で行われている牛の糞尿からの水素製造も、その1つです。今回は同じ北海道でも、釧路空港から車で90分くらいに位置する白糠町の小水力発電からの水素製造、そして活用施設に訪れました。

もともと白糠町にある庶路ダムは発電用につくられたものではありません。そのダムに小水力発電所を建設し、つくりだされた200KWの電気を使い、水の電気分解(東芝製)を行いCO2フリー水素を製造するというものです。継続的に電気を生み出すという意味では水力発電は、魅力的な発電所でもあります。しかし、水力発電所が建設できる場所は、自然に恵まれた人里離れた場所が多く、人口集積地に運ぶには送電が必要になり、蓄電池で溜めておくことにも限界があります。また、送電線建設コスト、送電ロスを考えると水素に置き換えて、溜める、運ぶという選択が生じてくるのです。

この実証実験は、つくりだされた水素をボンベ(岩谷産業製)に入れて町に運び、利活用するというものです。運ばれた水素は、まず大きな水素容器に充填され、最後は燃料電池(東芝製)H2Rexに充填されるのです。燃料電池では水素と酸素が結合し、電気とお湯がつくられ、お風呂のお湯として、施設の電気として使われています。

白糠町は真冬には-20度となり、寒い中でも水素、水素器具が使用に耐えられるかという実証にも繋がっています。水素の電気を溜めて、運べて、電気に戻すという機能を有効に利用し、新たなエネルギーシステムを構築すべきなのです。電気のまま使えば、余計なエネルギーを必要とせず、効率的ではないかという意見もあります。しかし、電気をつくった場所で、直ぐに伝えるならこの議論は成り立ちますが、遠くで、直ぐに使わない電気の場合は、どうなのか?という視点が重要になっているのです。


水素エネルギーは、再生可能エネルギーを効率的に使うため、CO2フリー水素を地産地消するために使えるエネルギーで、地域分散化という意味においても、次世代の中心的な役割を果たすことになるはずです。日本中の実証実験を実証実験として、終わらせるのではなく、実装につないでいかなくてはなりません。


編集部より:この記事は元内閣府副大臣、前衆議院議員、福田峰之氏のブログ 2018年12月18日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。