韓国軍レーダー照射事案の背景を読む

今月20日午後、能登半島沖、日本の排他的経済水域(EEZ)内において、韓国海軍駆逐艦「広開土大王」が海上自衛隊哨戒機P-1に向けて二度も火器管制レーダーを照射する事案が発生。韓国も採択している『CUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)』で火器管制レーダの照射は、航空機等に遭遇した場合には「控えるべき動作」とされていることに明らかに反する行為です。

ましてや、同じ自由主義陣営に属する友好国の航空機に対する行為とは到底思えない、極めて危険で許されるものではありません。日本政府の度重なる抗議と再発防止の要求に対して、韓国側はいまだに事実の認定すら行わない異常な展開に陥っています。

おととい、防衛省はレーダ照射を受けた機内で撮影された13分7秒の動画の公開に踏み切りました。レーダ照射は6分6秒ころと8分50秒ころに映し出されています。私が感銘を受けたのは、撃墜される惧れがあるにもかかわらず、機長以下の乗組員が極めて冷静な対処を行っていたことです。彼ら自衛官諸官を誇りに思います。動画では、6回にわたり韓国軍艦船にレーダ照射の意図を質していました。返答はいずれもありませんでした。

私見では、今回の事案の背景には2つの可能性があります。ひとつは、艦長かそれ以下の現場の判断でレーダ照射が行われた可能性。もう一つは、韓国国防省ひいては大統領府に相談したうえでレーダー照射が行われた可能性です。どちらにせよ、相当深刻な事案であるのは間違いありません。

現場の判断だけでこのような危険行為が実施されたとすると、韓国軍の規律保持への重大な懸念が生じます。一方で、政治レベルが照射を許可したのだとすると、両国の外交関係を大きく損なうことに発展します。現実的には、私は前者の可能性が高いと考えますが、「日本に対しては何をやっても許される」という“空気”が軍を含む韓国社会全体に蔓延しており、それが事案生起の誘因になったものと推量します。

自民党総裁外交特別補佐、衆議院議員・河井克行(広島3区)
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