2018年 わが身を振り返り…:「プロ経営」の流儀を追求

2018年も幕を閉じようとしています。小渕さんがテレビの前で差し出したあのシーンがついこの前のように感じる平成の元号も終わりに近づいています。皆様はどのような一年をお過ごしになられたでしょうか?私の一年はきつい登り道を頑張って歩を進めた、という感じです。

実は私のカナダの会社は私がまだ「雇われ」の時代、カナダに赴任する前に設立された経緯がありその後、合併、買収などを経てこの12月が創立30周年であります。そのうち、27年を自分で掌握し、更に14年間は買収後の自分の会社として運営してきました。会社の存続率などということもしばしば出てきますが、どうにかここまでやってきました。

会社の体質もその30年の間にどんどん変わりました。90年代後半には累損300億円規模の債務超過で日本の親会社の決算に影響する大問題会社だったものを財務、会計的な大規模リストラを数年間かけて行ったほか、着実な経営回復路線を辿り、今は関係会社を含め累損を一掃してプラスを積み上げています。

その間、一つひとつの事業をレールに乗せる、無駄を省き、効率経営を行う、といった改善作業をそれぞれの事業ごとに時間差を設け実行してきました。一時期に仕事が集中するのを避けたのです。また事業改革の見直しは3-5年ごとぐらいに行ってきており、すでに改善が数サイクル目に入っている事業もあります。その結果、本体事業の体質改善と効率経営化が十分に進捗したのがこの1-2年であります。忍耐強く、一歩ずつ着実に前に進む、この気持ちを大事にしてきました。

2019年に向けて新規事業は2本予定されています。大きく風呂敷を広げすぎないで自分の目線が届く範囲で事業を拡大するスタンスで行くつもりです。事業を大きくしたいなら買収なり大型投資なりで拡大戦略もあると思いますが、私の性格は多くの従業員を雇って何かやるというより実務家として現場に少しでも多く入り込みながらその事業の本質を探し出すことにより強い興味を持っています。

日本で行っているシェアハウス事業もあるコツをつかんでいるので空きが出てもすぐに埋まりますし、今は部屋数が全然足りない状態にあります。不動産屋から新規開発用の物件も継続的に持ち込まれますが、27歳の時から不動産事業にかかわっている者として見た瞬間に「当たり」「はずれ」は分かるものです。ですので決して飛びつかないのです。

そういう意味ではプロ経営の流儀を私はもっと磨いていかねばならないと思っています。よく「プロ経営者」という言葉が経済紙などで出てきます。経営指標をこねくり回して理論武装しながら経営のかじ取りをとる、というスタイルです。もちろんそれは否定しませんが、私の肌感覚からすると10年前までの流行だとみています。

経営とは経営の基礎知識以外にリーダーの熱意やコミュニケーション能力、想像力であります。流行を追うのではなく、流行を作り出す開拓精神というキラキラしたものであるべきであり、社員に共感をあたえるリーダーです。それが私流のプロ経営です。

イアン ブレマー氏が2019年は過渡期になると述べています。私は18年も十分にそうであったと思っています。過渡期とは何かが大きく変質していくときであります。その時、それまで当たり前だったものが不要となり、新しい何かが求められる時代になります。それが何であるか予見するのが経営者の楽しみであり、布石の一つになります。一方、全てが変わるわけでもなく、普遍的に残るものもあります。メディアに乗せられず、自分で考え、自己判断できるようにする、これが2018年を通じて肝に銘じてきたことであります。

よい一年を過ごした方、苦しい年だった方、皆様いろいろだと思います。しかし、暦というのは実に便利なもので気持ちの切り替えを否が応でも促してくれます。来年もいい年とは限りません。しかし、来年が悪い年とも限りません。どうするかは自分次第です。船を漕いで18年のゴールに到着しましたが、休むことなく19年の海に出ていきます。今日という日はそれぐらい重みのある日だと私は思っています。

今年一年、このブログに遊びに来ていただき、ありがとうございました。そして数々のコメント、ありがとうございます。嬉しく、そして励みになりました。

2019年も続けます。つぶやき続けます。どうぞよろしくお願いします。

皆様よいお年を。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2018年12月31日の記事より転載させていただきました。