なぜ離婚ではなく「卒婚」なのか

私と同世代のほとんど人たちは結婚して、家庭を持っています。羨ましいほど仲の良いカップルもいますが、中にはナゼ婚姻関係を維持しているのか、理解に苦しむ人たちも見かけます。それぞれのカップルに、周囲にはわからないそれぞれの事情があるとは思いますが・・・。

昨年実施された回答者1万2千人(うち既婚者2709人)のインターネット上の調査では、自分や配偶者の定年を機に離婚を考えたことがある人の既婚者の割合は、子供がいると女性28.1%、男性19.6%もいたそうです。

写真AC:編集部

子供がいないと女性13.3%、男性11.1%にとどまった。子供がいない人は定年など関係なく、そもそも離婚を考えているということでしょうか?

そんな中で、最近は離婚ではなく「卒婚(そつこん)」というのが、注目されているそうです。

離婚はせずに、夫婦がお互いに必要以上に干渉しないで自立した生活を続ける婚姻関係を指すようです。これに肯定的な割合は、男性56.4%、女性は73.5%。どちらも極めて高い数字です。

既婚者に高い支持を受ける卒婚ですが、なぜ離婚ではなく卒婚なのでしょうか?

そもそも離婚というのはあまりに重大な決断だから、その前にまずは卒婚でと考える人は多いかもしれません。やり直せる離婚のようなものです。嫌なら元に戻れば良いと思えば、気楽に始められます。

また、様々な制約から離婚を踏み出せないから卒婚という人もいるでしょう。専業主婦なら、離婚しても経済的自立という現実問題があります。また、周りに対する体裁や子供に対する配慮から、躊躇している場合もありえます。卒婚なら、そういった外的要因をある程度克服できます。

「卒婚」という新しい夫婦の形が広がっている背景には、社会の大きな変化があると思います。

その変化とは、人間関係の多様化と高齢化社会です。

人間関係の多様化によって、家族関係にも多様な選択肢が生まれています。そして、人生後半戦の期間が長くなれば、前半戦とは違った人生を違った人と楽しみたいという人は、着実に増えていきます。

卒婚というのも、制度が実態に対応できない中で生まれた苦肉の策のように見えます。

1人のパートナーだけど生涯幸せに暮らすことは、素晴らしいことです。しかし、それを実践できる人の数は、これから更に少なくなっていくことでしょう。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年1月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。