BS朝日新春番組:田原総一朗氏とのバトルの要点

「いま、日本を考える2019」という番組がBS朝日で1月2日に放送された。見逃された方もabemaTVでしばらくご覧になれる。

BS朝日新春討論スペシャル「いま、日本を考える2019」(1月8日頃まで、無料配信)

BS朝日・番組サイトより:編集部

4時間、司会者を含めて10人の大議論で、激しいバトルだったが、最後はそれなりの方向性は出たのではないかと思う。

出演者の色分けは、あえて、分類すれば、田原総一朗(オールド・リベラル)、井上達夫(自称リベラルだが専門分野での理屈優先でよくわからない)、堀潤(現代日本的リベラル環境派。国際的には極左ポピュリストか)、川村晃司(オールド穏健左派)、三浦瑠麗(アメリカ共和党穏健派)、岩田温(ネオ保守派)、岸博幸(竹中派の新自由主義)。そして八幡和郎(ヨーロッパ穏健左派か…笑)。司会は山口豊、本間智恵両アナウンサー。

右とか左とかいった分類は難しいが、たとえば、三浦さんはアメリカ的な政治論をされて、ルビオとかいった共和党の穏健派の考え方に近い。私はフランス的政治学が原点になっているから、EUを創ったドロールなどフランス左翼の中道寄りの考え方が原点だというだけで、それが、日本ではどうなるか、また、いろいろ考え方があろう。

田原氏との討論は、昨年もアゴラのセミナーとBS朝日の「クロスファイア」でもしたが、最大の違いは、田原氏は昔のように自民党内で派閥闘争みたいなものがあって、その結果、安倍一強などにならず、政権交代よりもっと早いということらしい。そして、そのためには、小選挙区をやめて中選挙区にすべきだという。

それに対して、私はリーダーの任期は、そこそこ評価されているなら8~10年がひとつの標準であって、とくに小選挙区制は、そういうことが望ましいという考え方でとられているものだ。だから、それより短くてリーダーが変わるのは、総選挙や大統領選で負けたときか、負けそうだからあらかじめ変わるかというだけでいいのだという考え方だ。

実際、アメリカやフランスのような大統領直接選挙だと、副大統領から昇格した大統領はややこしいが、そうでなければ、二期目にだいたい挑戦して負けたら交代というだけである。

だから、安倍政治のオルタナティブは、野党に求められるべきで、田原氏のように、石破氏のような与党の反主流派や、あるいは、長く外相をつとめ政調会長となっている岸田氏に期待したり、あるいは、野党自身が与党内での政権たらい回しを望むのが間違っているというのである。

これは、田原氏だけでなく、たとえば坂上忍氏でもそうで、あれだけ自公政権批判をしながら、野党への政権交代は望まないとおっしゃるから不思議だ。そのあたりは、番組で三浦氏などもいっていたが、小選挙区しか知らない世代にとっては、ギャップを感じるようだ。

憲法については、井上氏のように神学論争をしたい人と、そうでない現実派のギャップが大きかった。神学論争は私だって法学部出身者だし、ヨーロッパの政治史などが専門と言えば専門だからいくらだってできるが、それは、現実の政局のなまなましい話とは切り離してしないと、議論は深まらない。

沖縄については、私や川村氏は沖縄在勤経験があるし、井上氏はご母堂が沖縄出身だし、山口氏も沖縄によく取材にいっているようなので、もう少し時間があればよかった。沖縄県民の民意を尊重しろ、橋本龍太郎はもっと大田昌秀知事とさしで話したのに安倍首相はしていないという議論があり、私は移転に賛成している辺野古住民や移転反対派の市長を拒否した宜野湾や名護の民意は民意でないのか、大田昌秀のような立派な知事となら安倍首相だって話ただろうが、権力維持のためのパフォーマンスしかやらない翁長氏とでは無理ということで平行線。

水道民営化は盛り上がったが、これは、「再公営化が世界の趨勢」というデマをもとに議論しても嘘だという事実を突きつけたら議論は終わってしまう話だ。

最後に私が言ったのは、日本にとって大事なのは、欧米などから中国と違って日本は自分たちと価値観を同じくする国だと評価されることこそ、いちばん大事といったら、なんと井上先生からもお褒めいただいて終わった。

捏造だらけの韓国史 - 徴用工、慰安婦問題だけじゃない -
八幡 和郎
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